第十八話 教師その二
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「本当には思えないよね」
「絶対に嘘だろ」
「有り得ないだろ、百二十歳でまだ現役の教授だってな」
他の面々も同じ意見だ。そしてだ。
そんな話を楽しみながら授業を受けたのだった。その授業の後でだ。
まただ。クラスメイト達がその博士の話をするのだった。
「で、その博士に詳しい人いるのか?」
「うちの高校にもいるか?そういう人」
「うちの高校八条大学の卒業生の先生多いけれどな」
系列の学校なのでどうしてもそうなるのだ。
「じゃあ博士に教わった先生に聞けばな」
「それでわかるのかね」
こう話すとだった。ここでふとだ。
彼等の中の一人がだ。こう言ったのだった、
「ああ、そういえばな」
「そういえば?」
「誰かいたのかよ、それで」
「ほら、高代先生だよ」
その彼が名前を出したのはこの教師だった。
「あの人なら知ってるだろ」
「英語の高代公一先生か?」
「確かにあの人八条大学の卒業生だけれどな」
「俺達の先輩でもあるしな」
つまり八条学園高等部の卒業生でもあるのだ。
「それであの先生に聞けばわかるか」
「そう言うんだな」
「そうじゃないのか?他にもあの大学の卒業生の先生多いけれどな」
彼はクラスメイト達に話していく。
「けれど聞いてみればどうだよ、高代先生に」
「そうだな。じゃあ次英語の授業だしな」
「授業の前か後に聞いてみるか、高代先生に」
「そうするか」
彼等はこう話してだ。そのうえでだった。
次の授業がはじまりだ。量の多い黒髪をややパーマにして耳を隠している、穏やかで晴れやかな笑みを浮かべている背が高くすらりとした二十代半ばの男が教室に来たところでだ。彼等はすぐにその彼に尋ねたのである。
「先生、ちょっといいですか?」
「授業の前にちょっと聞きたいことがあるんですけれど」
「ちょっといいですか?」
「んっ、何ですか?」
教壇のところに立ってからだ。その男高代公一は明るく穏やかな口調で彼等に応えた。
「授業のことですか?」
「いえ、八条大学のことですけれど」
「あそこの教授のことで御聞きしたいことがあるんです」
「教授といいますと」
彼等の言葉を受けてだ。高代はだ。
まずはスーツの胸ポケットからハンカチを出して右手を拭いてからだ。こう彼等に言葉を返した。
「あの博士のことですか」
「ええ、悪魔博士でしたっけ」
「その人のことですけれど」
「百二十歳とか言われていますね」
高代の方もだ。彼等の問いを察してか自分から答えたのだった。
「そのことですね」
「それ本当ですか?」
「本当に百二十歳なんですか?」
「それ嘘ですよね」
「確か戦前から学校におられてです」
だがだ。その彼等の問いにだ。
高代は冷静そのものの顔でだ。
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