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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十九話 権利と義務
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れることになるだろう。場合によっては帝国の存続そのものにまで影響が出かねない。
この二人が居る間に帝国の政治体制を揺るぎないものにしなければならない。皇帝の悪政などで帝国が揺らぐような事が有ってはならないのだ。それに対抗できるだけの人材と制度を作らなければ……。
議会政治の導入には抵抗が強いだろう。何と言っても帝国の政治制度には無かった制度なのだ。そして反乱軍である自由惑星同盟が用いている制度でもある。今帝国は同盟を圧倒し征服しようとしている。何故敗者の政治制度を採り入れなければならないのか、当然反発が出るに違いない。
その想いは分からないでもない、大体同盟が今劣勢にあるのも民主共和政が原因でもあるのだ。しかし今後の事を考えれば、何らかの形で帝国臣民を政治に関与させる必要が有る。今までのように統治され搾取されるだけの存在ではならない。
政治に関与させることで帝国臣民の政治的識見を高め、皇帝の暴政を食い止めるだけの力を与える……。幸い司令長官は平民の権利の拡大には積極的だ。帝国に憲法を作ることも考えている。議会政治の重要性、必要性も理解してくれるだろう……。
もっとも我々は議員内閣制を導入しようとは考えていない。議員内閣制では行政府が立法府の影響を受けやすく、不安定な状況になる事が多々ある。同盟を見ればその事がどれだけ危険か分かる。行政府が立法府から過度に干渉を受けるのは避けなければならない。
であるから行政府と立法府を完全に分離させるべきだと考えている。議会には立法権及び皇帝立法案に対する拒否権、弾劾裁判権、皇帝指名人事の承認権、予算案に対する発議権、承認権を与える。
弾劾裁判権は議会の三分の二以上の賛成が有れば皇帝を廃立できる権利だ。皇帝指名人事の承認権も皇帝が明らかに不適当と思われた人事を行う事が無いように議会がチェックする権利だ。これらによって帝国が暴君の暴政にさらされることが無いようにする。
行政府のトップは皇帝とし、皇帝は帝国宰相または国務尚書の輔弼により帝国の行政を行う。皇帝は立法権、行政権、軍指揮権、そして議員立法案に対する拒否権を権利として持つ……。
司令長官がまた資料を手に取ってパラパラとページをめくる。手を停めて或るページに視線を当てた。
「二十年後には議会を開く、当初は男子に対してのみ参政権を与える。三十年後には女子にも与える、ですか……」
「地方自治体ではもっと早く、十年を目処に議会を開こうと考えています。男女区別なく与え、此処で女子には政治に参加することを学んでもらうのです」
ブラッケの言葉に司令長官が微かに頷いている。
司令長官がブラッケに視線を向けた。
「リヒテンラーデ侯にはお見せしましたか?」
「はい」
「それで、侯は何と?」
司令長官の問いかけ
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