第五話 初陣その十二
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い槍を持つことになった、その槍はというとだ。
「これはまた」
「うむ、異様だな」
「ここまで大きな槍を作るとは」
「幾ら何でもやり過ぎではないのか?」
「ははは、そう思える方がいいのだ」
驚きを隠せぬ家臣達にだ。信長は笑いながら語るのだった。
「そこまでな」
「やり過ぎ、とですか」
「そうなのですか」
「『やり』だけにだ」
ここで信長は笑ってこんなことも言った。
「その方がいいのだ」
「またその様なふざけられたことを」
平手が最初にその駄洒落に返した。やはりその顔は顰められている。
「ここまで長い槍なぞ使いにくいではありませぬか?」
「一人が使うにはな」
信長はその平手に素っ気無く答えた。
「しかしだ。それでもだ。大勢が使うとだ」
「違うと仰るのですか」
「そうだ。まあ見ているがいい」
ここでまた笑う信長だった。
「この槍と鉄砲でだ。わしは勝ち進むぞ」
「だといいのですが」
何はともあれその長い槍を使うことにした信長だった。そのことだけは確かだった。
第五話 完
2010・8・14
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