暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第十五話 選択その八
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「もうそうするから」
「どうして。私はただ」
「それが多くの犠牲を出すからよ」
 これがスフィンクスが声に言う根拠だった。
「だから何があってもね」
「そう言うのね」
「諦めなさい、もう」
 スフィンクスの声の色が変わった。
 何処か悲しみ同情するものになり。目の色もそうさせて告げたのである。
「貴女はもう」
「もうすぐで。できるというのに」
「それでも諦めなさい」
 声にだ。あくまで言うのだった。
「何にもなりはしないから」
「あの娘に続いて貴女まで」
「彼女は神話の頃から貴女を心配していたから」
 悪意はなかった。むしろその真逆の感情がそこにあった。
 その感情からだ。スフィンクスは言ってなのだった。
「そうしているのよ」
「・・・・・・・・・」
「今すぐわかれとは言わないわ」
 スフィンクスは気遣いを見せた。ここでも。
「けれどそれでもね」
「どうしてもというのね」
「そうよ。もう終わらせるわ」
 スフィンクスもだ。声に決意を込めて言った。
「それを今貴女に告げるから」
「スフィンクス、貴女もまた」
「じゃあまた会いましょう」
 声にもこう告げてだった。スフィンクスは完全に霧の中に消えた。
 そうして霧が晴れてからだ。中田が上城に言ってきた。
「何か最後は訳わからなかったけれどな」
「それでもですね」
「ああ、今日はこれで帰ろうな」
「はい。それじゃあ」
「まああれだよ」
 中田は上城にこんなことも言った。
「君の考え方ややり方には賛成しないけれどな」
「中田さんはですか」
「ああ、俺は戦う」
 これが彼の選択だった。そしてそれは今も変わらなかった。
「けれどそれでもな」
「僕の考えはですか」
「ああ、否定しないさ」
 それはしないというのだ。
「特にな」
「戦ってもですか」
「俺は相手が剣を持ってるんなら戦う」
 中田の言葉が強いものになる。
「しかし君が剣を持たないままなら」
「僕と戦わない」
「最後までそうしてみるか?」
 微笑みだ。上城に問う返したのだった。
「君は最後の最後まで」
「そうします」
 強い口調でだ。中田に答えた彼だった。
「絶対に」
「そうか。その言葉忘れないでくれよ」
「僕は戦いをせずに終わらせます」
 このことを自分から言ってだった。
 そしてそのうえでだった。上城は中田に尋ねた。その尋ねたこととは。
「あの、それでなんですけれど」
「ああ、何だい?」
「中田さんの願いは何ですか?」
 このことを尋ねたのである。彼が戦うその理由をだ。
「それは一体」
「それか」
「はい。それはどうしてなんでしょうか」
「ちょっと言えないな」
 その問いにはだ。彼はだ。
 少しばかり気恥ずかしい顔にな
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ