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久遠の神話
第十五話 選択その七

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「それがね。では見せてもらうわ」
「これからの僕をですね」
「そうよ」
 こう上城に言うのである。
「楽しみにしているわよ」
「そうですか。ただ」
「ただ?」
「貴女は心がありますね」
「だからこう話してるのよ」
「レプリカじゃないんですか」
「さて、それはどうかしら」
 上城の今の問いにはだ。スフィンクスは笑って誤魔化した。
 しかしだ。それと共にこうも言うのだった。
「けれど心があるのは確かよ」
「そうですよね。それで」
 そのことを確めてからだ。さらにだった。
 彼等だ。スフィンクスに再び尋ねたのである。その尋ねることは。
「怪物なのにどうして僕達にこんなことを話してくれたりするんですか?」
「そして貴方達を導く様なことを言うかね」
「それはどうしてなんですか?」
 いぶかしむ顔でだ。スフィンクスに尋ねるのである。
「わからないんですが」
「そうかもね。ただね」
「ただ?」
「私もこの戦いについてはよく思っていないのよ」
 その場に座り彫刻の様になったままでの言葉だった。
「実際にね」
「よく思っていないからですか」
「そうよ。貴方のその考えにも反対はしないわ」
 難しいとは断ってもなのだ。
「そういうことなのよ」
「そうですか」
「ええ。じゃあいいわね」
「はい、わかりました」
「では。また会いましょう」
 ここまで話してだった。スフィンクスはだ。
 周りに何処からか出て来た霧に覆われていく。その中に消えていく。
 そしてその霧の中でだ。今度は声に対して言うのだった。
「貴女もね」
「私、ですか」
「もう諦めたらどうかしら」
 こう声に対して言うのである。
「いい加減。何度繰り返すつもりかしら」
「それは」
「気持ちはわかるわ」
 声に対してだ。理解も示しはした。
「けれどそれでもね」
「無駄だとでも」
「無駄ではないでしょう」
 ここでも否定ではなかった。しかしだった。
 そのうえでだ。声に言うのだった。
「けれど。多くの犠牲を出してまで彼は満足するのかしら」
「彼が目覚めれば」
「それでいいというのね」
「だからこそ私は」
「あくまで続けるというのね」
「それが間も無くだから」 
 声のその声の色が切実なものになっていた。
「私は。絶対に」
「あくまでそう言うのならいいわ」
 スフィンクスのその言葉は突き放したものになっていた。
 そしてその声でだ。声に言うのだった。
「けれど私はもうこの戦いはいい加減にして欲しいのよ」
「私の邪魔をするというのね」
「彼女と同じよ。止めるわ」
 邪魔ではなかった。それだというのだ。
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