第零話 炎の覚醒その二十一
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そのうえでだ。彼はこんなことも言った。
「まあそれもいいな」
「強くなりたいですか」
「だってあれだろ?戦えばな」
「はい、戦えば」
「それでけ強くなって」
そのうえでだというのだ。中田は強さだけを見てはいなかった。強くなりどうするか。中田が今声に対して言うのはこのことについてだった。
「より強い魔獣や剣士を倒せば余計にな」
「多くの黄金や糧を得られます」
「じゃあそれでいいさ」
笑顔で応えて言う中田だった。
「強くなってみせるさ」
「そう仰いますか」
「ああ、この言葉は撤回しないぜ」
笑顔で言いだ。そのうえでだ。
中田は黄金を拾いだ。それ等を全て己の懐に入れた。
そうしたうえで。声に対して再び尋ねた。
「今のところこれで終わりだよな」
「はい、終わりです」
その通りだと答える声だった。
「もう魔獣はいません」
「そうか。それじゃあな」
「休まれますか」
「家に帰ってな」
そのうえでだというのだ。
「そうさせてもらうぜ」
「わかりました。それでは」
こうしてだった。彼は剣士となったのだった。そうしてだ。
魔獣を倒していく。そして他の剣士達とだった。
「それでだよ」
「何でしょうか」
声は何時でも彼と共にいた。そうして彼の問いに答えるのだった。
「俺の他の剣士な」
「彼等ですね」
「そいつ等は出て来るんだよな」
「今もそれぞれです」
「魔獣と闘ってるんだな」
「貴方と同じです」
そのだ。中田とだというのだ。
「貴方を含めて十三人です」
「十三人!?俺も入れてか」
「はい、十三人です」
それだけだというのだ。
「その十三人の剣士達がです」
「闘ってそれでか」
「最後の一人になれば」
「どうなるんだ?一人になれば」
「究極の力が手に入ります」
「究極のって何だよ」
「勝てばわかります」
そうすればだというのだ。
「最後まで勝てば」
「何かわからないけれど俺はな」
彼はどうするか。それはもう決まっていることだった。
「三億の為にな」
「闘われますね」
「ああ、決めた」
そうだとだ。二本の刀を手にして言った。
「家族の為に闘うんだよ」
「わかりました。では頑張って下さい」
「三億。一回の戦いで百万辺りでな」
「大体三百回ですね」
「洒落にならない位闘わないといけないか」
「ただ剣士一人で一億かと」
それだけの黄金が入るというのだ。
「それだけの黄金が入りますので」
「わかったぜ。一億だな」
「そうです。剣士同士の闘いはそれだけの価値があるものです」
「価値!?」
「・・・・・・・・・」
価値という言葉についてはだ。声は急に沈黙したのだった。
中田もそれが気になったがだ。それでもだった。
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