第十五話 選択その一
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願いを適えさせてもらう」
「僕は。それでも」
「逃げよう、今なら何とかなるわ」
樹里がここでまた彼に言ってきた。
「そうしないと本当に」
「逃げる、ならいい」
広瀬は樹里の言葉を聞いてだ。こうも言った。
「君の好きにするといい」
「逃げると。それで」
「俺は追う。君だけを」
ここでも樹里は狙わないというのだ。あくまで上城だけだというのである。
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