第零話 炎の覚醒その二
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「あんたって昔から」
「無駄なカロリーは使わないんだよ」
「それを横着っていうのよ」
そんな話をしながら彼の前に皿を持って来た。黄色い気味のベーコンエッグが実によく焼けている。しかも美味そうな匂いも出している。
それを出してだ。また言う母だった。
「大学生になってもそれは変わらないのね」
「部活じゃ速さの中田って言われてるさ」
だからいいとだ。そうした口調だった。
「部活で動いてるからいいんだよ」
「そういう問題じゃなくてね」
また言う母だった。言いながら台所に戻ってだ。またフライパンを使っていた。
そうしながらだ。母は彼に言うのだった。
「こうした場合は動くものでしょ」
「わざわざあいつの部屋まで行ってかよ」
「ええ、そうよ」
「いいじゃないか、別にな」
またこう言う彼だった。
「起こしたんだからな」
「これで起きなかったらどうするのよ」
「またメール送るさ」
そうするとだ。中田はあっさりと答えた。
「それだけさ」
「本当に直行らしいわね」
母は彼の名前を呆れた声で言った。
「そういうところ誰に似たのかしら」
「多分爺ちゃんだな」
「お父さんに?」
母から見ればそうなる。それだからこその言葉だった。
「お父さんに似たの」
「そうなんだろうな」
「そういえばお父さんって横着だけれど」
「だから俺は爺ちゃん似なんだよ。顔もね」」
「そうね。顔はそっくりね」
母もそのことは認めた。
「それに剣道をやってるのもね」
「爺ちゃんに教えてもらったからな」
「お父さんも変なこと教えたわね。けれどね」
「けれど?何だよ」
「お父さんそこまで横着じゃないわよ」
それは違うというのだ。
「流石にね」
「じゃあうちの親父は」
「お父さんは丁寧でしょ」
今度は夫をこう言うのだった。彼女にとって父は二人いるのだ。
「それも凄くね」
「そういえばそうか」
「だから。あんたは横着過ぎるのよ」
こう言って我が子を叱る。またベーコンエッグを焼きながら。彼はその間にフォークとナイフを使って自分のベーコンエッグを食べている。
「本当にね」
「横着上等だよ」
「開き直ったわね」
「だから無駄なカロリーは使わないんだよ」
「剣道でもそうなの?」
「そっちは速さの中田だよ」
また自分の仇名を言ってみせたのだった。
「そうなんだよ」
「そっちはカロリー使ってるのね」
「そうじゃないと勝てないからな」
「必要だから使うのね」
「そういうことだよ」
言いながらコップの中の赤い野菜ジュースを飲む。
「必要な時は使うからいいんだよ」
「それで生きていくのね」
「ずっとな」
「適当ね」
「適当か?」
「そういうのを適当っていうのよ」
我が子に
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