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少女1人>リリカルマジカル
第五話 幼児期D
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なのに。なぜか長靴が雪から抜けなかった。なんでか抜けなかったんだんだよ! こんちくしょう!!


「もう……走る! とにかく走る! めっちゃ走るぞ、アリシア!!」
「えっ、えぇ? お兄ちゃん、なんでそんなに泣きそうなの!?」
「そこはバシッと決めろよ俺っ! 黒歴史作っちまったじゃねぇかぁーー!!」

 俺は妹と手を繋いで、とにかく我武者羅に雪景色を駆け抜けました。


 途中でまたしても長靴がすっぽ抜けて、ずっこけた俺たちは真っ白けっけになりました。



******



 《新暦37年 夏  NO.19》 


 『アリシアについて』

 俺たち兄妹は様々な場所に転移しては、いつも遊んだりしている。

 将来事故が起きるとはいえ、全てをそれに集中できるわけではない。もちろん俺としても、ヒュードラについてちゃんと調べたいし、対策だってじっくり練りたい。

 だけど、アリシアを1人ぼっちにさせてしまうのは嫌だった。俺たちの未来がかかっているとはいえ、だからといって『今』を蔑ろにしたくはなかった。


 俺がリリカル物語を読んでいて結構思ったのは、本当になのはさんたち9歳児? と思うほど精神的に成熟している場面が何回かあったことだ。だっての○太君こそが本当の子どもの姿だと聞いたこともあるし。

 でもそれはアニメだからという理由もあるだろう。環境としての要因もあるだろう。けれど正直小学3年生の思考でも、14歳で執務官の仕事をしているクロスケ君も、普通の子どもとはどこか違うと感じた。

 社会人になったことのある俺でさえも、責任という言葉は重いし、今だって本当に怖いと思う。それを10代前半ぐらいの子どもが背負っている。怖くないのだろうか。そうならざるをえない環境。子どもらしくない子ども。俺個人としては、疑問に思うことはある。

 だけど疑問に思うだけで、俺は別に成熟していることが悪いとは思わない。実際ミッドでは多いらしいし、次元世界ではそれが普通なのかもしれない。そのおかげで俺もこの世界に溶け込めている。

 世界が違えば、価値観だって変わる。俺がなのはさんたちに感じる違和感が、ここでは場違いなものなのかもしれないし、変わらず正当なものなのかもしれない。


 それでも、俺はアリシアには年相応の子どもとして、無邪気に笑っていてほしいと思った。


 原作ではアリシアはいつも1人ぼっちだった。母さんが仕事に出掛けている間は、彼女がいたとはいえ、ただ広い家にずっと1人で母さんを待っていた。

 アリシアは自分の気持ちを素直に伝えられる子だけど、母さんのためならそれを押しこめてしまえるだろう。想像だけど、妹は母さんにわがままを言うことはあっても、きっと「寂しい」とは彼女は絶対
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