第89話 桃色注意報
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
場合、このようなことは起こらなかったでしょう。
しかし、北郷の暴走は看過できる限度を超えています。
許攸を襲撃し半殺しにして、未遂とはいえ強姦を働こうとは賊と同じです。
男だけの石切り場に押し込めていた反動でしょうか。
「北郷さんは最低の行為をして、正宗さんに凄く迷惑を掛けました。本当なら罪を償うべきだと思います。でも、正宗さんのことだから、北郷さんも襲撃に加担した兵士さんも死罪にするんじゃないかと思って・・・・・・」
桃香は頭を俯けて、私に言いました。
「それで北郷や襲撃に加担した兵士達に恩を売ったつもりか? 許攸の件を収拾したのはこの私だ。お前が彼らを逃がすなら、許攸の件はお前が収拾すべきだった。違うか?」
私は桃香の言葉に激怒して、桃香を怒鳴りつけました。
「正宗さん、ごめんなさい・・・・・・」
「申し訳ございません!」
桃香と関羽は深々と頭を下げました。
「桃香、不始末を起こした以上、安喜県の県尉の官職を返上し、印綬を渡して貰うぞ。北郷を逃亡させた件は私は知らなかったことにしてやる。だが、情けを掛けるのもこれが最後だ」
私は桃香の所行に怒りを覚えましたが、冷静に言いました。
「分かっています。これが県尉の印綬です」
桃香は腰袋から印綬を出しました。
「冥琳、その印綬を預かってくれ」
私が冥琳の声を掛けると、彼女は桃香から印綬を受け取りました。
「あの・・・・・・。正宗さん、厚かましいお願いなんですが、私の義勇軍の皆を預かって貰えないですか? もう、私の力じゃ義勇軍の皆を養うのは無理なんで」
桃香は私に申し訳なさそうに言いました。
「義勇軍を預かってくれということはいずれ返してくれということか? お前は自分の兵士を私に養わせる気なのか?」
桃香の願いに胃痛を覚えましたが、私は声をひねり出して言いました。
「先ほどから聞いていれば、貴様は何様のつもりだ! 本来ならば、罪人を逃がした罪で貴様を罰するところを正宗様はお見逃しなされるのだぞ」
冥琳は厳しい表情で桃香に言いました。
「それを分かっています。でも、私じゃ義勇軍を維持するのは無理なんです」
桃香は俯きながら言いました。
「劉玄徳、あなたは分かっていません。何故、正宗様があなたの兵を養わなければいけないのです。兵というのは金食い虫です。あなたはそのことを自覚なされていますか? あなたの兵を正宗様が預かるということは、3000人の食客の面倒を見るということと同じです。それもいつ出て行くか分からない人達です。正宗様のために命を捨てる覚悟がある兵士達ならいざ知らず。あなたの為に命を捨てる兵士達を面倒見るのはどう考えてもおかしいでしょう」
揚羽は怜悧な瞳で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ