第十二話 一人ではないその九
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「銀月さんの場合は」
「神はです」
ここでふとだ。聡美は言った。
「かなりの力を使うとです」
「神が?」
「あっ、いえ」
ここでだ。聡美は己の言葉を打ち消した。そして言うのだった。
「身体を動かすとそれだけですよね」
「カロリー使いますしね」
応える上城も周囲もだ。聡美の言葉には気付かなかった。そのうえで食べながらやり取りをしてそれを聞いているのだった。聡美にとっては幸いなことに。
「だからですね」
「ギリシアでは普通に思っていましたけれど」
「それでも日本ではですね」
「日本の女の人は少食なんですね」
実際に樹里を見ても言ったのだった。
「そうなのですね」
「大体そうだな」
中田は少し考えてから述べた。
「女の子だけじゃなくてな」
「男の方もですか」
「日本人は少食な方だな」
こう話す中田だった。
「食うことについてはな」
「そういえば。食堂でも」
「量が少ないだろ」
「はい、ギリシアと比べると」
「体格が小さい人が多いせいかな」
中田はそこから日本人の少食について話す。
「少食みたいだな」
「体格はそのまま食事の量に影響しますね」
「だから俺なんてな」
お世辞にも小柄ではない。一八〇程もあれば。
「かなり食うんだよ」
「体格にそれにですね」
「ああ、運動もしてるしな」
そうした理由からだった。
「俺は食うからな」
「日本人でもですね」
「食うさ。それにな」
「それにですね」
「飲むからな」
彼等は飲んでもいた。ワインだ。
赤いそれをだ。大きな白いコップに入れて飲んでいた。そうしながらだ。
彼はだ。聡美に今度はこのことを話した。
「ギリシアじゃワインだよな」
「昔からそうです」
「だよな。それこそ神話の頃からな」
「ワインを飲めば」
どうなのかと。聡美は温かい目にはり話す。
「幸せになります」
「幸せにか」
「神も人もです」
聡美はこう言っていく。
「ワインと聞けば誰もが集まりそうして飲んでいきます」
「だよな」
「こうして今は剣士の方々が集ってますね」
「だよな」
「それでも?」
「あいつだけいないからな」
中田はややだ。顔を顰めさせて述べた。
「あいつはな」
「ああ、あの人ですね」
上城はだ。難しい顔で述べた。
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