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久遠の神話
第十二話 一人ではないその八
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「けれど何だかんだで上城君は」
「食べてるっていうんだね」
「六〇〇食べれそう?」
「何とかなるかも」
 上城は凄まじい勢いでだ。そのパスタを食べながら応える。
「これまで五〇〇は食べたことがあるけれど」
「それも凄くないかしら」
「ううん、やっぱり凄いかな」
「凄いわよ。それじゃあ今回もいけるんじゃないの?」
「そうかも知れないね」
 食べながらだ。彼は自分で言った。
「本当にひょっとしたらだけれどね」
「そうだ。六〇〇位ならだ」
「普通にいけるんじゃないかな」
 工藤と高橋は平気な調子である。最初からだ。
「この程度ならな」
「俺達はいけるよ」
「肉体労働だからですか?」
 そのせいではないかとだ。上城は二人に尋ねた。
「そのせいで」
「海自はまだ陸自さんよりは動かないがな」
「それでも俺達は毎日トレーニングを積んでるからね」
 二人はこう上城のその問いに答えた。
「それもかなり激しいトレーニングを積んできている」
「剣士としてね。生き残らないといけないからね」
「だからですか」
 二人の話を聞いてだ。上城も納得した顔になり頷いた。そしてそのうえで自分のことも考えるのだった。
「そういえば僕も」
「毎日剣道で身体を動かしているな」
「だからだね」
「それに育ち盛りだからでしょうか」
「それもあるだろうな」
「食べられるにはそれだけの理由があるんだよ」
 二人も食べながら話す。
「俺達にしろ君にしてもだ」
「六〇〇は食べられるだろうね」
「そうだろうな。やっぱり剣士は食うんだな」
 中田もだ。見ればかなりの勢いでパスタを食べている。オリーブオイルの香りがしソースを絡めたそのパスタをだ。実に美味そうに食べている。
 その中でだ。彼は言ったのである。
「俺も食えそうだな。しかしな」
「しかしっていいますと?」
「いや、俺達が食えるのはわかるんだ」
 それはだとだ。彼は上城に話す。
「ただそれでもな」
「それでもって」
「いや、銀月さんもな」
 聡美を見てだ。中田は今言うのだった。
「食うんだな」
「私がですか」
「ああ、あんたも六〇〇いけそうだな」
「あっ、確かに」
 上城も聡美が食べるのを見て言う。見ればだ。
 彼女もだ。凄い勢いで食べている。剣士達にひけを取らない。
 それを見てだ。上城も言った。
「凄いですね」
「そうでしょうか」
「やっぱり弓道をされているからでしょうか」
 上城はそれはそのせいではないかと考えた。
「身体を動かしておられますし。それに」
「それに?」
「背も高いですし。あと陸上競技は」
「今はしていませんがランニングは続けています」
 聡美が以前、ギリシアでは陸上競技をしていたことについても話したのだった。

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