第十二話 一人ではないその二
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「そう。小学校の時の担任の先生みたいに」
「小学校の時の?」
「江戸先生っていったの」
「素晴らしい先生だったんだ」
「優しくて公平で」
公平、それは教師には欠かせない素養である。だがこれを身に着けている教師は思いの他少ない。これも残念なことではある。
「それで包容力があって」
「そういう人だったんだ」
「その先生みたいになりたいの」
こう上城に話すのだった。
「だから。小学校か幼稚園の先生に」
「成程ね」
「なりたくないタイプの先生もいるけれど」
「いるね。そうした先生は」
「暴力教師にはなりたくはないわ」
樹里はここでは強い否定と共に述べた。
「絶対にね」
「いるよね、中には」
「そうよね。もう酷い先生が」
「生徒を何十発も殴って蹴って」
「剣道やってたっていうあの先生よね」
「いるからね。ああした先生が本当に」
他の社会なら確実に懲戒免職になる様な教師もだ。日本にいる。
そうした教師のことを頭の中に入れてだ。上城は話すのである。
「勘弁して欲しいわ」
「全くだよ。悪いことをしたら叱るのは当然にしても」
「それでもよね」
「些細なことで極端な暴力を振るうのはね」
「絶対に駄目よね」
「うん、本当にそう思うよ」
上城は眉を顰めさせて言った。
「そうした教師、いや人間にはね」
「なったら駄目よね」
「そうしたこともやっぱり」
「気をつけてるわ」
実際にそうだとだ。樹里は答えた。
「例え何があってもね」
「そんな人間としておかしい先生には」
「ならないわ」
絶対にだと。樹里は言い切った。
「そう気をつけてるから」
「いいと思うよ。生徒だって同じ人間だから」
「そういう先生って生徒を人間と思っていないのかしら」
「人間と思っていても奴隷とか道具として見てるんだろうね」
「奴隷、若しくはなの」
「だからそんな極端な暴力を震えるんだよ」
上城はその目に嫌悪を込めて話す。
「そうなんだと思うよ」
「生徒をそうして見る先生って」
「いるから凄いよね」
「酷い話よね」
「何処にでもそうした先生はいるけれど」
「けれど私は」
「ならないんだね」
念を押す様にして。確める様にして樹里に問うた。
「絶対に」
「なりたくないしならないわ」
樹里もだ。今は全否定だった。
「そう決めてるわ」
「それでいいと思うよ」
樹里のそうした話を聞いてだ。上城もだった。
笑顔で頷いてだ。そうして言うのだった。
「間違ったことをしたらいけないからね」
「本当にそうよね」
そうした話をしてだった。二人は中田の家に向かう。そしてだ。
彼の家の前に来てチャイムを鳴らす。するとだ。
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