第十一話 意外な素顔その五
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「ただそれでもな」
「戦うことは変えない」
「そうなんだな」
「君もだな」
「ああ、そうさ」
その通りだとだ。中田も返す。
「俺だって目的があるからな」
「だが君は俺と違うな」
広瀬はその中田に対して返した。
「君は剣も持たない相手には」
「戦わないさ」
その通りだとだ。答える中田だった。
「趣味じゃないんだよ」
「趣味じゃない、か」
「ああ。俺は剣道をやっててな」
「全国大会優勝だったな」
「剣道やってる人間は普通はな」
どうかというのだ。その剣道家はだ。
「剣を持っている相手としか戦わないんだよ」
「普通は、か」
「暴漢とかに襲われたら別さ」
その場合はとだ。断りも入れる。
「後は」
「後は?」
「人間の屑だな」
ここでだ。中田はその眉を嫌悪で歪ませてだ。
そのうえでだ。広瀬に話すのだった。
「人間の屑は相手が剣を持っていない相手でも弱い奴ならな」
「その剣を向けるか」
「剣を竹刀に換えてみな」
中田はこうも述べた。
「どうなる?その場合は」
「竹刀を持っていない弱い者でもか」
「まあいじめだな。虐待って言ってもいいな」
嫌悪感をさらに露わにさせてだ。中田は話す。
「そういうことする奴がいるんだよ」
「それが人間の屑か」
「いるんだよ。学校の教師とかな」
「それはわかる」
広瀬も教師というキーワードにはすぐに応えてきた。そしてこう言うのだった。
「学校の教師の世界は閉鎖的だ」
「それでだよな」
「チェックが機能しない」
教師の世界の最大の問題点だ。あまりにも閉鎖的かつ排他的な世界でだ。外からのチェックやそうしたものが行き届かないのだ。無論内部告発も妨害されていく。
その為に無能な教師。精神異常の教師、人格障害のある教師がのさばる。そうした教師達によって日本の教育はどうしようもないまでに腐敗していっているのだ。
そのことを話してだ。広瀬もだった。
「あの世界は腐りきっている」
「あんたも知ってるんだな」
「よくな」
少し忌々しげにだ。広瀬も述べた。
「俺の通っていた中学はそうした奴の吹き溜まりだった」
「で、わかるんだな」
「よくわかるつもりだ」
こう返す広瀬だった。
「見てきただけに余計に」
「で、そういう屑がなんだよ」
中田はまた言う。
「世の中を滅茶苦茶にしてくれるからな」
「それでか」
「ああ、それでだよ」
まさにその通りだとだ。中田は話を続けた。
「そうした屑とかならするんだよ」
「しかし君は違う」
「そうした連中を反面教師にしてるからな」
だから余計にだというのである。
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