第四十七話 伊勢併呑その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
本願寺についてこうも話した。
「調べてみる必要があるかもな」
「左様ですか。本願寺に対して」
「そうされますか」
「うむ、そうしよう」
本願寺について調べることになった。今敵でなくとも調べておく。信長は慎重だった。そうした話をして伊勢と志摩の話を終えるのだった。
それからだ。彼は今度は柴田を呼びだった。こうした話をするのだった。
「これで兵は三万五千じゃ」
「かなりのものになりましたな」
柴田はこのことに満足して述べた。
「これで美濃の斉藤とも有利に戦えます」
「うむ。しかしじゃ」
「しかし?」
「もう一つ手を打っておきたい」
ここでこう言うのだった。
「もう一つじゃ」
「といいますと」
「近江じゃ」
まずは国から話される。
「そこにじゃ。あれを送りたい」
「あれとは?」
「市じゃ」
笑ってだ。この名前を出すのだった。
「市を近江の浅井に嫁がせたい」
「市様をですか」
そう言われてだ。柴田はだ。
目を丸くさせて驚いた顔になりだ。主に言うのだった。
「あの、それは」
「まあ待て権六」
焦る柴田にも顔を向けてだ。信長は笑って話す。
「そなたは昔から市を可愛がっておるからのう」
「じじと呼ばれてきました」
市が幼い頃だ。彼女によく懐かれていたのである。実は柴田は意外と子供好きなのだ。尾張の子供達にも妙に人気があるのだ。
「よく一緒に遊ばせてもらいましたし」
「だから別れは悲しいか」
「いや、それはありませぬ」
別れについてはだ。毅然として言うのだった。
「姫様はやがて嫁がれるものですから」
「そうじゃな。必ず誰かとな」
「しかし。浅井家ですか」
浅井との婚姻についてだ。柴田は唸るのだった。
「それはまた」
「意外か」
「浅井殿と手を結ばれるということは」
柴田はここで考えた。彼とて織田家の重臣だ。武においては佐久間と並ぶ者であり信長からも一目置かれている。彼も中々の頭の持ち主なのだ。
その彼がだ。こう言うのである。
「やはり美濃を。そしてですな」
「そうじゃ。わかるな」
「美濃を攻め取り都に行く途中も」
「六角への牽制にもなるからのう」
近江南部に勢力を張る家だ。本来近江は六角家が治めているのだが北部は彼等から独立した浅井が治めているのだ。それで六角と浅井は犬猿の仲でもある。
信長はだ。このことを柴田に話す。そして柴田もそのことがわかっていた。
そのうえでだ。柴田は言うのであった。
「確かに。今後を考えますとこの話は宜しいですな」
「そうじゃな。ではじゃ」
「近江の若き主長政殿とですな」
「そういうことじゃ。では話を進めるとしよう」
「それはよいのですが」
「よいとは?」
「長政殿はです」
彼については
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ