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久遠の神話
第十話 偶発戦その一
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                    久遠の神話
                   第十話  偶発戦
 工藤と高橋は神戸駅の裏に着いた。そこにはだ。
 幸い人はいなかった。二人はそこに車を停めてだ。
 すぐに外に出た。その二人の前にだ。
 二つの首を持つ狂犬がいた。犬は獰猛な顔で吠えたてている。
 その犬を見てだ。工藤が言った。
「オルトロスだな」
「オルトロスっていいますと」
「ケルベロスがいるな」
 工藤はこの怪物から話した。
「あの冥界の番犬の」
「ああ、あの首が三つあって」
「その首の周りに無数の蛇がいてだ」
「で、尻尾が蛇ですよね」
「そして猛毒を持っている犬だ」
 それだけにかなり強い。ギリシア神話の中でも。
「そのケルベロスの兄弟だ」
「それがこいつですか」
「そうだ。だからだ」
「かなり強いですね。それじゃあ」
「覚悟するべきだな」
 工藤は言いながらだ。剣を出した。高橋もまた。
 剣を出す。そのうえで戦いに入ろうとする。そうしながらだ。
 工藤は構えてだ。傍らにいる高橋に言った。
「君はだ」
「俺は?」
「後ろに回れ」
 怪物のだ。そこにだというのだ。
「いいな。後ろにだ」
「じゃあ工藤さんがですか」
「前を受け持つ。それでいいか」
「俺は前でもいけますけれど」
「安心しろ。オルトロスの首は幾つだ」
 そのだ。目の前の怪物の首の数の話になる。
「幾つある」
「二つです。そういうことですか」
「俺が一つを受け持ちだ」
「そしてもう一つが俺がですね
「そうなる。だからだ」
「そうですね。それでいけますね」
 高橋も納得した。それでだ。
 彼は頷きだ。それからだ。怪物の後ろに向かう。その彼をだ。
 怪物の頭のうちの一つがだ。彼を見てきてだった。 
 高橋にだ。首を伸ばしてきた。それを見てだ。二人は。
「伸びた」
「首が」
 驚きの声を挙げる。しかしだ。
 すぐに構えを取りだ。それぞれの首の相手に向かう。工藤は。
 その十字の剣でだ。怪物の首の牙を受けた。そのうえで。
 剣を返し一閃させてだ。その首を断ち切った。
「決まったか」
「いえ、これは」
 だが、だ。すぐにだ。
 高橋が言った。彼は見たのだ。
 首は切断された。その断面からだ。
 早速だ。新しい首が生えてきたのだ。
 そしてその新しい首が早速だ。工藤に噛みついてくる。それを見て。
 工藤はすぐに右に跳んだ。それでかわしたのだった。
「危ないところだったな」
 かわし構えを取りなおしてからだ。工藤は言った。
「まさかまた出て来るとはな」
「こいつケルベロスの兄弟ですよね」
 高橋はこのことを工藤に話す。彼も首の一つと攻防を繰り返している。
「そうでしたよね
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