第88話 立つ鳥跡を濁す
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発言の内容次第では、この場で処刑してやります。
「許攸、手間を取らせてたな。傷の治療代に1万銭を渡してやる」
私は「傷の治療代」という言葉を強調して言いました。
「劉車騎将軍、そのようなお心遣いは結構でございます。できれば、あなた様のお側に置いていただけないでしょうか?」
許攸は一物ある表情で私の瞳を見て言いました。
桃香の件をちらつかせて、自分を士官させて欲しいと言っているのでしょう。
「許攸、何故にお前を側に置かねばならぬ」
私は無表情で言いました。
「このことが宮中に報告されれば」
「冀州で賄賂を貢がせたお前が首が飛ぶということか?」
私は底冷えする声で許攸を睨みつけました。
「聞けば、お前は私が大守を勤める鉅鹿郡でも堂々と賄賂を要求していたそうだな」
「な、何を・・・・・・お、仰っているのか・・・・・・。りゅ、劉車騎将軍、こ、この私が朝廷に劉玄徳のことを報告してもよろしいのですか?」
許攸は私の態度に顔が恐怖で引きつっていました。
「ほざくな! やってみるが良い。お前の悪事は斬首ものだ。お前が私に舐めた真似をするというなら、私にも考えがあるぞ」
私は許攸を睨みながら、濃厚な殺気を放ちました。
「りゅ、劉車騎将軍・・・・・・。わ、私の勘違いでございました・・・・・・。こ、ここれにて失礼させていただきます」
許攸はカタカタと肩を震わせて、辛そうに頭を下げ去っていきました。
「正宗様、許攸には監視を付けて置きます」
揚羽は許攸の立ち去るのを確認すると、私を見て言いました。
「それでいい。もしも、朝廷に今回の一件を報告したり、麗羽に脅迫するような真似をしたら」
「始末すればよろしいのですね」
揚羽は私に怜悧な笑みを浮かべ言いました。
私は彼女の瞳を見て、うなずきました。
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