第九話 戦いの意義その二
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「よかったですね」
「そう思う。実際にな」
「若しも日本政府の誰かがとんでもない野心を抱いていて」
そうした人間が政府にいる可能性は否定できなかった。色々な人間がいるのが世の中でありそれは政権についても言えることだからだ。
「それを俺達に強要してきたら」
「こう簡単にはいかなかった」
「例えばですね」
ここで高橋はこんなことを言った。
「首相がポルポトみたいな奴だったら」
「俺達にああした狂気の世界を強要してだ」
「俺達が勝ち残ってもですよ」
「日本はキリングフィールドになっていた」
そのだ。究極の独裁と粛清が支配する国になっていたというのだ。
「だがそうはならなかった」
「剣士は自分の望みだけを適えられる」
「他人に言われた望みは適えられない」
「だからよかったですよ」
高橋はしみじみとした口調で述べた。
「いや、本当に」
「全くだな」
工藤はラーメン、縮れた麺が醤油味のトリガラスープの中にあるそれをすすりながら述べた。ラーメンの中にはチャーシューに葱、それにしもやしがある。
その古典的な美しささえあるラーメンをすすりながら話すのだ。
「それが幸いしている」
「俺達にとっても」
「それで話を戻すが」
「はい」
「あれだ。上城君とはこのまま協調していってだ」
「戦いを終わらせることを進めますか」
「それと並行して調査もだ」
ここでだ。新しい言葉が出た。
「それも行おう」
「そうですね。それもまた」
「それからだ」
また言う工藤だった。
「別の動きに出るのは」
「ええ。そもそもです」
「この戦いはわからないことが多い」
「それもあまりにも」
「謎だらけだ」
工藤は自分の炒飯を食べながら述べる。その間に自分が注文した餃子も食べている。
「古代よりあった戦いだということはわかるが」
「ええ。それもはじまりは」
高橋も自分のラーメンをすする。
「ギリシアですよね」
「それも神話の頃からだからな」
「それだけ長い戦いで」
高橋はレバニラ、やはり自分が頼んだそれを食べた。見れば二人は全く同じものをそれぞれ頼んでいる。八宝菜までそこにはある、
「一代一代で行われてきていて」
「剣士の数は決まっている」
「十三人ですね」
「ギリシアで十三という数字もだ」
「ちょっとないですよね」
「ギリシアでは十二の筈だ」
所謂オリンポスの十二神に黄道十二宮だ。ギリシアで軸になる数字はこれなのだ。
「だが。十三だ」
「キリスト教みたいですけれど」
「キリスト教にしても基本は十二だ」
「ですね。十三は不吉とされていますね」
このことには諸説ある。裏切り者ユダが十三番目の使徒だったからという説もあればそのキリストが十三日に死んだからだとも言われている
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