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久遠の神話
第八話 二人の剣士その十三
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「俺は剣士になってそのことを当時所属していた署の署長に話したんだ」
「そうしてですか」
「その署長がキャリアの人でね。あっという間に警視庁のトップまで話がいってね」
「俺も上官に話した」
 工藤もそうしたというのだ。
「そうして今ここにいる。特別任務にあたっていることになってな」
「俺もなんだ。特殊捜査担当になって」
「それでここにですか」
「いるんだよ。特殊捜査っていうのもな」
「剣のことですね」
「ああ。政府としてはな」
 日本政府のことであるのは言うまでもない。
「この話は穏便に済ませたいんだよ」
「日本政府らしいな」
 中田は工藤の話を聞いてこう言った。
「そうしたところはな」
「そう思うか」
「ああ、違うか?」
「そう思うならそれでいい」
 工藤はあえて政治的なコメントを避けた。自衛官らしいと言えばらしいか。
 しかしだ。それでも彼はこうは言ったのだった。
「それで俺達のやることはだ」
「この戦いを終わらせるんですね」
「そうだ。その為にだ」
「俺達は神戸に来たんだ」
 工藤に続いて高橋も言う。
「だからだ。君とはね」
「目的は同じだな」
「そうですね。戦いを止めたいですから」
 上城はこう二人に返した。
「ですから」
「ではその目的の為にだ」
「一緒に戦おうか」
「はい」
 三人は微笑んで頷き合った。しかしだ。
 中田はだ。そんな彼等にこう返した。
「俺は悪いけれどな」
「戦う」
「そうするんだね」
「あんた達は俺には剣は向けないんだったな」
 三人を見ての言葉だった。
「そうだよな」
「そうだ。俺達の任務は戦いを終わらせることだ」
「だからね」
「それなら俺はあんた達とは戦わないさ」
 笑ってだ。彼はまた言った。
「戦う時はあくまでな」
「剣を持った時」
「俺達がそのうえで君と対峙した時にこそ」
「そうさせてもらうからな」
 この考えを二人にも告げたのだった。かくしてだ。
 お互いに会合をしたのだった。そのうえでだ。
 工藤はだ。こう高橋に言った。
「ではだ」
「はい、今日はこれで、ですね」
「終わりだな。それぞれ戻るか」
「工藤さんは地方連絡部ですね」
「そこに一旦戻る」
「じゃあ俺はです」
「県警だな」
「はい、そこに戻って報告します」
「御互いにそうしよう」
「はい、それじゃあ」
 笑顔で話してだ。そうしてだった。
 彼等は中田達と別れた。店を出てだ。
 そして店を出た中田もだった。
 上城にだ。こう言ったのだった。
「じゃあ俺もな」
「帰られるんですね」
「ああ、またな」
 笑ってだ。そのうえでの言葉だった。
「まあ今日はな」
「工藤さんと高橋さんですね」
「あんたにとっちゃよかったな」

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