第四十四話 元康の決断その十一
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「わかりました。それではです」
「我が家はこれより織田様に従います」
「是非そうさせてもらいます」
こうそれぞれ言ってだ。信長についていくのだった。
そして三河ではだ。元康はまずは岡崎に入った。その彼のところにだった。思わぬ報が入りだ。彼は目を見開いて言うのであった。
「何と、瀬名に竹千代がか」
「はい、駿府からです」
「来られています」
そうなっているとだ。元康の家臣達が彼に話すのだった。
「そしてもうおられます」
「この岡崎に」
「またどうしてじゃ」
その話を聞いてだ。元康はまずは首を捻った。
だがすぐに気付いてだ。こう言うのだった。
「雪斎殿が手を回してくれたのか」
「はい、そうです」
「その通りです」
家臣達がまた元康に話す。
「そうしてです」
「岡崎に送られたのです」
「そうしてくれたか。ではじゃ」
そこまで聞いてだった。元康は言うのだった。
「わしはここに留まる」
「岡崎にですか」
「この城に」
「そして三河を治める」
そうするというのだ。
「では独立ですか」
「そうされますか」
「今川様から」
「義元様と氏真様がおられなければ」
どうなるかというとだ。最早言うまでもなかった。
「今川は仕舞いじゃ。ではじゃ」
「我等は再びこの三河においてですな」
「己で立つと」
「うむ、立つぞ」
まさにだ。そうするというのだ。
「まことにな」
「まさかこうなるとは思いませんでしたな」
「確かに」
こうした声も出て来ていた。
「今川殿の下で生きていくと思いましたが」
「それが大きく変わりですか」
「独立ですか」
「独立はよい」
元康はそれ自体はいいとした。
しかいだ。彼はここでこうも話すのだった。
「だが。それで終わりではない」
「今川殿がいなくなろうともですか」
「敵はおりますな」
「武田よ」
語る元康の顔が曇る。
「あの家が来る」
「あの武田がですか」
「天下随一と言われているあの武田騎馬隊がですか」
「しかも率いるはあの信玄に二十四将」
「恐ろしい相手ですな」
「容易には勝てぬ」
元康はまた言った。
「敵は精強なだけでなく兵も多い」
「我等はです」
ここで言うのは痩せた顔の中年の男だった。
「三河、そして遠江の半分を手に入れてもです」
「むっ、本多殿か」
「本多正信殿ではござらぬか」
元康の知恵袋の一人だ。その彼が同僚達の言葉を受けながら主に話すのだった。
「一万です」
「一万か」
「はい、それに対して武田はです」
どうなのか。本多はそのことを話すのだった。
「今でさえ三万です」
「そこにか」
「間違いなく駿河も手に入れます」
そうなるとだ。本多も読んでいるのだ。
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