第七話 中田の言葉その十四
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「そこから補給マークになり」
「そしてか」
「はい、研修は横須賀と厚木でしたが」
それでもだというのだ。
「下士官になってからはずっと舞鶴にいました」
「舞鶴か」
「いい場所です」
舞鶴についてだ。二尉は微笑んで話す。
「あれで中々」
「いいのか」
「はい、いいです」
そうだというのだ。
「寒くて雪は多くて」
「そこは北海道と同じだな」
ただし雪の質は違う。北海道の雪はさらさらとした粉雪だ。だが舞鶴の雪は水分が多いいわゆるぼた雪なのだ。そこが違うのだ。
そのことを話してからだ。二佐は言った。
「しかしその舞鶴がいいのか」
「飲む場所が多いので」
「飲む場所が多いか」
「はい、あれで中々面白い町ですよ」
「羨ましいな」
ここでこんなことを言う二佐だった。
そしてだ。こんなことを言った。
「陸自にはない」
「ないですか」
「町から離れているのが基本だ」
陸自の基地は海自の基地と比べていささかそうなのだ。
「だからな。そうおいそれと町で飲めるのはな」
「北海道ではありませんか」
「ない」
今度は一言でだ。苦笑いで言う二佐だった。
「だから海自さんが羨ましいと思ったことも多い」
「休日や仕事の後は何をされているんですか?」
二尉はふと思いだ。二佐に尋ねた。
「一体。飲む場所も遊ぶ場所からも離れていますと」
「しかも単身赴任の場合はか」
「どうされているのですか?北海道の陸自さんは」
「やることは一つだ」
二佐は笑って述べた。
「一つしかないだろう」
「何でしょうか、それは」
「ゲームだ」
それだとだ。二佐は屈託のない笑顔で話した。
「それをしている」
「ああ、それですか」
「昔はファミコン、今はプレステもあるな」
「結構やり込んでおられるんですね」
「今もしている。部屋に帰って飲みながらしている」
「そうですか」
「また新作を買って楽しむ予定だ」
普通の国では軍の高級士官と言ってもいいがだ。二佐は話す。
「今から待ち遠しい」
こんな話をしてだ。陸自と海自の幹部達はこれからを見ていた。彼等の果たすべきことを。
第七話 完
2011・9・1
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