第零話 炎の覚醒その十一
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「名前は日本の名前になっています」
「えっ、名前はそうなんだ」
「銀月聡美といいます」
こう名乗るのだった。
「これが私の名前です」
「それで部活は」
「はい、アーチェリー部です」
「そうだよな。アーチェリーは向こうにいた時から?」
「ずっとやっています」
このこともだ。美女、即ち銀月聡美は話した。
「長い間」
「長い間って?」
「遥かな昔から」
不意にだ。聡美はこんなことを中田に話すのだった。
「そうしています」
「あのさ、遥かな昔って」
中田はすぐにその言い方に突っ込みを入れた。
「幾ら何でもさ」
「はい?」
「ないんじゃないかな」
笑ってだ。こう聡美に話すのだった。
「だって俺達大学生だよ」
「だからですか」
「そんなさ。遥かって」
笑いながら聡美にまた言う。
「大袈裟だよ」
「あっ、そういえば」
聡美もふと気付いた顔になってだ。それで言葉を返してきた。
「私大学生ですから。日本の」
「で、幾つなの?」
「二十になります」
「何だ。俺と同じ歳じゃない」
「ええと。お名前は」
「中田っていうんだ」
笑顔で名乗る彼だった。
「中田直行っていうんだ」
「中田さんですか」
「そう、宜しくね」
「わかりました」
「それで銀月さん」
中田の方から聡美に対して言う。
「あんた趣味とかあるの?」
「趣味ですね」
「やっぱりあれかなアーチェリーかな」
「はい、それと」
「それと?」
「スポーツなら何でもです」
少しおずおずとした調子で中田に話す。
「しています」
「スポーツ大好きなんだ」
「兄も好きですし」
「ああ、お兄さんいるんだ」
「双子の兄です」
兄弟もいるとだ。中田に話す聡美だった。
「ギリシアにいます」
「ふうん、そうなんだ」
「兄はスポーツの他に音楽も好きで」
「何か凄いね」
「占いもします」
兄のことをだ。聡美は中田に問われる前に話していく。
「ただ私はスポーツ以外は」
「音楽は駄目なんだ」
「しない訳ではないですが兄程は」
「成程ね。お兄さん凄いんだ」
「かなり」
「ううん、羨ましいなあ」
中田は聡美の話を聞いて心から憧れの言葉を述べた。
「俺ってさ。音楽とかは好きだけれど」
「御自身でやられるのは」
「駄目なんだ。絵は好きだけれどね」
「絵、得意ですか?」
「芸術学部じゃないけれど自信はあるよ」
「今度見せてくれますか?」
「よかったらね」
気さくに返す。彼にしてもまんざらではない。
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