第七話 中田の言葉その七
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「その為にな」
「確かに。それですと」
「全然違うよな」
「はい」
こくりと頷きだ。聡美もだ。
中田の言葉をだ。そうだと認めたのだった。
「そうなりますね」
「俺は戦うからな」
「あくまで、ですね」
「あれだろ。治療費や手術費は魔物を倒して手に入っても」
「ですが完治は」
「一人まで勝ち残って願いを適えるしかないんだ」
だからこそだった。彼は。
「戦うぜ。最後までな」
「どうしてもですね」
「ああ、どうしてもな」
「そうですか」
「ああ、じゃあわ」
ここまで言ってだった。中田は。
聡美の横を通り過ぎてだ。そうしてだった。
家に入る。しかしだ。
ここでまた聡美にだ。こう言ってきたのだった。
「飲むかい?」
「お酒をですか」
「ああ、どうだい?」
「いえ、今は」
「いいのかい」
「遠慮します」
そうするというのだった。
「そうした気持ちではないので」
「何だよ、そうなのか」
「はい、私も私の家に帰って」
「それで休むんだな」
「そうします」
そうするというのだ。一人でだ。
「帰って寝ます」
「じゃあな。またな」
「はい、また」
「俺は飲んで風呂入って寝るさ」
「お酒を飲んでからですか?」
「おっとと、順番が逆だったな」
そのことはだ。中田はだ。
笑って否定してだ。こう言いなおした。
「風呂に入って寝るさ」
「それがいいですね」
「ギリシアでも風呂は入るよな」
「はい、昔から」
「あんたも入っていたな」
聡美を見てだ。そうしての言葉だった。
「そういうの好きだよな」
「身体を清めることは好きです」
「俺もだよ。じゃあまたな」
「はい、また」
こう話して別れてだ。中田は風呂を楽しみ酒を飲んでその日は休んだ。この日はこれで終わった。
そして次の日だ。上城はだ。
学校で勉強をしてだ。その休み時間に教室においてだ。
クラスメイト達にだ。こんな話をされていた。
「御前前のテスト結構いけたよな」
「そうだったよな」
「ええと。どのテストかな」
教科のことをだ。尋ね返す上城だった。
「僕理系は全然駄目だけれど」
「だからよ。英語と国語な」
「あと社会」
その系統の教科の話だった。
「どれもいけたんだろ?」
「特に古典な」
「ああ、古典ね」
古典と言われてだ。彼はだ。
納得した顔で頷いてだ。微笑んで話すのだった。
「あれは知ってたからね」
「源氏物語か?」
「あれ知ってたのかよ」
「原文読んだ訳じゃないけれど」
源氏物語の原文は難解なことで有名だ。何しろ原文よりも英訳した方が遥かに読みやすいとまで言われている。そこまで難解なのだ。
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