暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第七話 中田の言葉その四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「そのことは上城君と同じです」
「前に仰った様にですね」
「上城君を支えます」
 彼の顔を見て。そうしての言葉だった。
「絶対に」
「では。私達三人で」
 こう話してだった。上城と樹里だ。
 お互いにだ。顔を見合わせて再びだった。
「それじゃあこれからもね」
「宜しくね」
 樹里は剣を持っていないがそれでもだった。上城と共にだ。
 戦うことをだ。あらためて決意したのだった。
 この日はこれで終わりだ。三人はそれぞれ帰路についた。そして中田も。
 ワルキューレを飛ばし自宅に戻っていた。そうして家に来るとだ。
 玄関にだ。彼女がいたのだった。
「あんたかよ」
「はい」
 聡美だった。その彼女がだ。彼の家の玄関のところに立っていた。
 そうしてだ。そのうえでだ。バイクから降りヘルメットを脱いだ彼にだ。声をかけてきたのだ。
「御聞きしたいことがありまして」
「しかし。あんた足速いね」
 中田が聡美に言うことはまずはこのことだった。
「あそこから家まで結構あったよな」
「そうだったでしょうか」
「あったよ。バイクかい?車かい?」
「それは」
「まあいいさ。レディーに細かい詮索は抜きにしてな」
 そういうことは問う主義ではない彼だった。それでだ。
 あらためてだ。彼はだ。聡美に尋ねたのだった。
「で、何の用だい?」
「はい、それですが」
「飲むのならビールでいいよな」
「ビールではなく」
「じゃあワインかい?」
「ワインは好きです。しかし」
 それでもだとだ。聡美は言ってだ。
 そうしてだ。彼女もだ。
 あらためてだ。こう中田に言ってきたのだった。
「今はお酒の話ではなく」
「じゃあ戦いの話かい?」
「そうです。あの時貴方は上城君を斬れましたね」
 率直にだ。このことを尋ねたのだった。
「そうですね」
「向こうは丸腰になったしな」
「それでも斬られなかったのですね」
 再度だ。彼に問うたのだった。
「そうされた理由は」
「あの時言ったよな」
 こう返す中田だった。
「俺が戦うのはな」
「あくまで、ですね」
「武器を持っている相手だけさ」
「刀を手にしているからこそ」
「武器を持たない相手を斬るなんてな」
 言いながらだ。中田はその顔に嫌悪を浮かべる。
 そのうえでだ。こう言ったのである。
「俺がこの前やっつけた暴力教師と同じだ」
「あの剣道をやっていた」
「ああいう奴にはなりたくないからな」
 それでだというのだ。
「俺はそういうことはしないんだよ」
「だからですか」
「相手が武器を持っていたら別さ」
 あくまでだ。その場合はだというのだ。
「けれどな。丸腰だとな」
「闘われませんか」
「絶対にな」
 少し笑ってだ。彼は答えた。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ