第4章 聖痕
第32話 使い魔のルーン
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間に対して、尊敬の念を籠めてそう呼ぶべきだと俺は思っていますから。
但し……。
……それはないでしょう、タバサさん。
タバサが手にしたカップを、そおっと奪い取る俺。
タバサが首をふるふると横に振る。そして、
【その液体は危険】
……と言う【念話】を送って来ました。
そんな事は見ただけで判りますって。普通の飲み物は、不気味な煙など発生させませんし、持っただけで目から涙が出て来たり、鼻につんと来る刺激的な臭いも漂わせたりしません。
おそらくタバサは、善意に因って回復用の飲み薬を用意してくれたモンモランシーが傷つく事と、その事を考えた俺が最初にこの劇薬に手を伸ばす可能性を考慮して、自らが生贄の羊となろうと覚悟を決めたのでしょうが……。
ただ、彼女が飲むのなら、その前に毒見をするのは俺の役割でしょうが、タバサさん。
それに、まさか飲んだからと言って命を奪われると言う事はないと思いますが……。
確か、彼女……モンモランシーは有名な水の系統魔法使いを輩出する家柄の出身。彼女が薬だと言って出して来た液体ですから、見た目やその他は危険でも、ある程度の効果効能は有るとは思いますから。
【タバサ。もしも倒れたら治療の方を頼むぞ】
俺の【念話】に大きく首肯くタバサ。
気分的には、湊川の戦いに赴く前の楠木正成、正行親子の別れか、もしくは吉野で今生の別れを行った源九郎と静御前か。
そんな俺とタバサの悲壮感の溢れるやり取りを見つめる一同。但し、俺とタバサが【念話】を交わしている事は誰も知らないので、ただ二人が見つめ合っているとしか思っていないとは思うのですが。
……もしかすると、こう言う部分を周りの連中が見て、俺とタバサが判り合っている、と言う風に取られているのかも知れないですね。
確かに、表面だけを見ると、目と目で通じ合っているようにも見えますから。
現実は、普通に【会話】を交わしているだけなのですが。
それで、モンモランシーは先ほどまでと変わらず、悪意を感じさせない雰囲気で笑顔を発しながら俺とタバサのやり取りを見つめるのみ。そして、キュルケやルイズ達は興味津々と言う雰囲気を発して居る。
……何故に、こんな罰ゲームのような目に合わなければならないのか判りませんが、でも、これも俺の役割と言う事なのでしょう。
顔に近付けたカップから立ち昇る瘴気に煽られて、涙と鼻水が出て来ますが、タバサがこんな不気味な液体よって同じような状況に成ると考えると、それだけでも俺は、俺の役割を果たしたと言う事。
そう思い込み、覚悟を完了した俺。
そして鼻を摘まみ、一気にタバサの分を飲み干す。更に、自分の分として用意された紫色の液体も無理矢理呑み
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