第4章 聖痕
第32話 使い魔のルーン
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
それで結局、賭けられたチップは5枚で全員がコール。
開かれた手札は……5のワンペアのルイズは論外として、3と9のツーペアのキュルケに対して、Aのスリーカードのタバサ。
「結局、負けちゃったか」
さして残念そうでもない口調、及び雰囲気でキュルケがそう言う。
確かに、タバサの勝ちには及ばないけど、彼女だって総計で負けている訳では有りません。
何故ならば、一人負け状態の人間が居るからなのですが。
「なぁ、ルイズ。オマエは賭け事には手を出さない方が良いぜ」
その一人負け状態のピンク色の少女に対して、彼女の使い魔の少年がそう言うのですが……。
但し、俺から見ると五十歩百歩。才人の方も賭け事には向いていないと思いますよ。
ふたりとも勝負手が顔に出易いですから、こう言う遊び以外では賭け事には手を出さない方が無難だと思います。
そう言うやり取りを行っている伝説の使い魔とその主人の目の前に、何か良く判らない、妙な湯気……と言うか、煙を立てている紫色の液体が並々と注がれたカップが置かれる。
いや、違う。そのふたりだけではなく、その劇薬……明らかに毒薬でしょう、これは、と言う液体が注がれたカップは俺の前にも、そして、タバサや、キュルケの前にも置かれていた。
そうして……。
「みなさん、頭を使ってお疲れでしょう。私が新しく作った飲み物ですが、飲んでみてくれませんか。
間違いなく、頭がすっきりしますし、多分、美味しいですよ」
満面の笑みと共に、その毒薬じみた液体を一同に進めるモンモランシー。
但し、自らの目の前には、その不気味な液体を注いだカップは存在せず、まして、何故か、彼女は『多分、美味しい』と言う言葉を使って、その紫色の液体を表現して居ます。
これは、間違いなく味見はしていない、と言う事なのでしょう。
もっとも、彼女の発して居る雰囲気に悪意は感じません。これは、間違いなく善意から行っている行動と言う事だと思われます。
そう考えながら、改めて、その不気味な液体をマジマジと観察して見る俺。
どう見ても飲み物と言うには相応しくない不気味な色と、湯気……と言うか、雰囲気から言うと煙と表現するしかないモノを発して居る危険な液体に恐れを為したのか、この場に居る歴戦の勇士たちでさえ、誰一人としてカップを手にしようとしない。
いや、違う。たった一人、意を決したかのようにタバサがカップを手にした。
成るほど。彼女はギャンブラーなどではなく、挑戦者だったのかも知れないな。そう、まるで他人事のように考える俺。
何故ならば、ギャンブラーは負ける勝負は挑みません。しかし、挑戦者は、一筋の光明にさえ己を賭ける事が出来る人
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ