第4章 聖痕
第32話 使い魔のルーン
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これに関しては、オマエさんは関係なさそうやからな」
一応、気休め程度の言葉を口にして置く俺。
それに、伝説の使い魔や魔法が関わって来ている事件に、俺自身も巻き込まれている可能性が有るみたいですから、魂に刻まれるような傷痕が付いたとしても、それ自体は別に不思議な事ではないとは思います。
ただ問題は、この傷痕が単に霊的な存在からの接触に因り魂に傷を付けられただけなのか、それとも、今巻き込まれている大きな事件に因って刻まれているのかが判らない点なのですが。
……これでは判り辛いか。何か訳の判らない、大きな流れの中に巻き込まれた結果の事態なのか、幻想世界の魔獣ティンダロスの猟犬や、精神世界のショゴス(仮)に取り込まれた精神体との接触によって付けられた霊障の類なのかが、現状では判らない事に問題が有るだけ、と言う事です。
しかし、タバサがゆっくりと二度、首を横に振った。
これは否定……の意味だとは思いますけど、一体、何処の部分を否定したのでしょうかね、タバサさんは。
「わたしは、貴方に未だ告げていない事が有る」
普段通り、抑揚の少ない彼女独特の口調でそう話し始めるタバサ。
話していない事?
「貴方に刻まれた使い魔のルーン。わたしが調べた限りでは、その文字は『生贄に決められしもの』と刻まれている」
口調自体は普段の彼女の通り。しかし、心の動きが普段の彼女の心の在り様とは違った。
それに、『生贄に決められしもの』ですか。これは、もしかすると少しピンチと言う感じかも知れないのだが……。
それに、これでひとつの謎……と言うか、少しの引っ掛かりが解消されたと思います。
タバサがティンダロスの猟犬と戦う前に口にした台詞。『貴方を召喚したのは間違いだった』と言う言葉は、このルーンに刻まれた内容を知ったが故の台詞だったと言う事なのでしょう。
あの台詞は、俺の未来を……不幸に成るしかないような未来を暗示させるルーンを刻んで仕舞った事を悔やんだ台詞と言うだけで、決して、俺が役に立たない使い魔だから必要ない、と言う理由で発せられた台詞では無かったと言う事なのでしょうね。
「……それで、その使い魔のルーンに対応するような伝承や昔話は、タバサの知っている範囲内には存在するんかいな」
少しいい加減な雰囲気を表面に見せながらの俺の質問に、ふるふると首を横に振る事で答えと為すタバサ。一応、あまり深刻な雰囲気を発する訳にも行かないから、こう言う態度で聞いたのですが。
「ならば、問題はないな。一応、記憶の片隅にでも止めて置けば問題はない」
かなり軽い調子で、そう答えて置く俺。
それに、この世界の伝承に、『生贄に決められしもの』に対応する伝承がないのなら、今はそれ以外に対処する
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