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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第32話 使い魔のルーン
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が有ります。ですが、彼女が其処まで精神的に脆い人間だとは思えません。
 彼女は俺とは違う、死が近い世界の住人であり、その中でも一番死に近い騎士や貴族社会の住人なのですから。
 そう考えるのならば、彼女に取っての俺の評価がかなり高いと言う事なのでしょう。

「まぁ、だからと言って、感謝の言葉を告げない訳には行かないやろう」

 確かに、わざわざ、そんな判り切った事を口にするなど水臭い、と言う考え方も有ります。ですが、矢張り、こう言う言葉はちゃんと口にして置いた方が良いと俺は思いますから。

 俺の言葉に少し考えるような雰囲気のタバサ。しかし、直ぐにコクリと小さく首肯いた。

 そうしたら、何時までも寝ている訳にも行かない。
 そう思い、右手は未だタバサと繋がれたままになっているので、左手で、彼女が掛けてくれたと思しき毛布と布団を……。

 ……除けようと思ったのですが、その左手を何故かタバサが取って仕舞う。

 そうして……。

 その俺の左手。いや、手首の内側を厳しい視線で見つめるタバサ。
 これは、異常事態発生と言う事ですか。

 但し、俺の身体や精神には何も不都合な事が起きている訳ではないので、割と軽い気持ちで、タバサの見つめている左手首の内側を覗き込んで見る。
 そこには。

「右手首の内側と一緒やな」

 少し呆れたように、そう実際の言葉にして呟いてみる俺。
 そう、俺が覗き込み、タバサがかなり深刻な表情で見つめる先には、直径にして5センチもないようなモノなのですが、確かに紫色に変色した微かな痣が残っていました。

 ……ここは多分、夢の世界のタバサ(精神体)に握られていた部分。

 いや、しかし、あの助け出したタバサの精神体と思われる少女から、俺は危険な雰囲気を感じる事は有りませんでした。
 まして、この痣に関しても、右手首のモノと同じように、別に不都合を生じさせるモノでも無い事は、動かして見た感覚で判ります。

 そして、もし右手首のモノと同じ類の代物ならば、ウィンディーネの言葉を借りると、これは身体に付いた傷痕ではなく、俺の魂に刻まれた傷痕。故に、治療する事は不可能だと言う答えを貰っているのですが……。

 しかし、魂に刻まれる種類の傷痕を両手首に刻まれるって言うのは……。

 タバサから、かなり陰の気の籠った気が発せられる。

 う〜む。これは、かなり気にしている雰囲気ですね。確かに、妙な具合には成っているけど、この左手首の傷痕に関しては、タバサは関係ないでしょう。いや、その前のティンダロスの猟犬と戦った時に付けられた右手首の方の傷痕に関しても、どうも関係なさそうな雰囲気にも成って来たと思いますが。

「タバサ。あまり、この傷痕に関しては気にする必要はないで。
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