第4章 聖痕
第32話 使い魔のルーン
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、もう少し、彼女を感じて居たかったのです。
その瞬間。右手を繋いだ状態で眠る少女が、少し身じろぎをして目覚める雰囲気を発した。
……そして、少し首を動かし、やや眠そうな瞳を俺の方に向ける蒼き姫。滅多に目にする事の出来ない彼女の寝起きの状態。
そう言えば、俺も寝ぼけたような雰囲気でタバサの相手をした事はあまりないけど、タバサの方もあまり見せた事は有りませんでした。
俺もそうですけど、もしかすると彼女の方も、俺に対してだらしない面を見せたくないと言う気持ちが有ったのかも知れませんね。
……使い魔と主人は似て来る、と言うべきですか。
いや、多分、最初から似ていたのでしょうね、この部分に関しては。
「おはようさん」
普段の朝と同じ挨拶を行う。もっとも、現在の時間帯が朝とは限らないのですが。
「おはよう」
同じように普段の朝と同じ目覚めの挨拶を返して来るタバサ。未だ少し眠そうな雰囲気は残って居ますが、普段の彼女の雰囲気に戻りつつ有るような気がします。
但し、未だ右手は繋いだままなのですが……。
思わず、ほんの少しの微笑みが頬に浮かんで仕舞った俺。いや、何か少し、心が柔らかくなったような気がします。
「なぁ、タバサ」
本当は、もう少し、彼女を見つめて、右手だけでも彼女を感じていたいのですが……。
そろそろ、ベッドから起き上がって現状の把握を行わなければ成りませんか。もっとも、ここはタバサの部屋で、このハルケギニア世界では一番安全な場所で有るのは判ってはいますが。
俺の問い掛けに、真っ直ぐに見つめ返す事で答えと為すタバサ。それに、一応は、話しを聞いてくれる態度には成っていますか。それならば、
「さっきは助けてくれて有難うな」
……と、最初に感謝の言葉を告げて置く。
そう。あのままでは、もしかすると、俺もショゴス(仮)に取り込まれていた可能性も有ったと思います。
そして、あの夢の世界で、精神体=魂魄が死亡すると、俺にこの現実の世界での目覚めは二度と訪れる事は無かったでしょう。
しかし、首を横に振るタバサ。そして、
「貴方とわたしは唇歯輔車の関係。貴方に何かが有ったのなら、わたしが助けるのは当然」
……と、答えてくれました。そして、その言葉には陰の気……つまり、心にもない口先だけの着飾ったような部分を感じる事は有りませんでした。
おそらくこれは、タバサの現在の本心を語ったと言う事なのでしょう。
しかし、唇歯輔車の関係って……。これは、タバサの頭の中では、俺はかなり高い評価を得ていると言う事ですか。
確かに、俺の方がタバサを失うと、主に俺の性格的な問題から、以後、使い物に成らなくなる可能性
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