第19話 猫神様と黒い魔法使い(3)
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と、いきなり自分の名前を呼ぶ声に純吾は思考の渦から顔をあげる。
声の方へ視線を向けると、そこには焦ったような顔をしたユーノがいた。
「純吾、なのはを地面に下ろして。傷を調べたいんだけど、純吾が抱えたままだと良く見えないよ」
その声にはっとなり、なのはを下ろす。
失念していた。今は戦いが終わったばかりであり、急いでしなければいけない事は、山のように会ったのだ。
そんな純吾を尻目に、なのはに向かって先ほどとは違う紋様の魔法陣を起動させる。しばらく厳しい顔をしてそれを眺めていたユーノだったが、ほっと顔を緩めた。
「良かった…。バリアジャケットがうまく働いてくれたおかげで、何の怪我もしてない」
そのユーノの言葉に純吾もほっとするが、次の瞬間忘れてはいけないもう一匹の事を思い出す。
「シャムスっ!」
純吾はジュエルシードを無理やりに抜かれ、小さくなった体へ駆けよる。
段々と見えてくる小さい体、その傷の深さに思わずはっとした表情をしてしまった。
綺麗な橙色だった毛並みが、最後に電撃の当たった脇腹あたりを中心に火傷によってかなりの範囲が黒く変わっていたのだ。
そんな大けがを負い、ぴく、ぴく、と弱々しく痙攣するシャムスを見て、思わず純吾はひざまずきそっと、今にもその命が吹き消えてしまいそうな彼女を抱きあげる。
「頑張って、シャムスっ!【ディアラマ】」
抱きかかえた腕の中で息も絶え絶えなシャムスを励まし、そうして今彼が出来る一番効力の高い回復魔法をシャムスに使う。
魔法の行使に伴い、白くはじける様に瞬く光が辺りを包む。が
「まだ、足りない……!」
ギリッ、と音が鳴るほど奥歯を噛みしめた。
確かに電撃による火傷などは治療する事が出来たが、今度はビクッビクッと強く、よくない痙攣を起こしはじめたのだ。
「純吾! 彼女の体内でジュエルシードの魔力が暴れまわっている、それが体調を狂わせているんだ!」
その時、ユーノが唐突に声をあげる。
なのはの時同様魔法によってシャムスの体内の様子を見た事により、無理やりジュエルシードをひきぬかれた後遺症か、彼女の体内にかなりの魔力が残っている事を発見した。
単純な体力回復ではない、状態治療の治療が急務。
ユーノの声を聞きそう判断した純吾は、どんな体の異常をも治す秘薬を呼びだす。
「【アムリタ】」
インド神話に伝わる、飲んだものを不死にする神酒の名を冠した薬。それをまだ目を覚まさないシャムスの口元に手づからツ…、と流し込んでいく。
シャムスの小さな口が神酒をのみ込んだ、その瞬間
「んっ……!」
【ディアラマ】を行使した時よりもまぶしく、どこか神々しい光が、純吾を中心とした森の一角を包
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