第17話 猫神様と黒い魔法使い(1)
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まま挨拶をしようとしたが、トレイの奥側に置いてあったお湯の入ったポットに頭突きをしてしまう。ただでさえトレイが重たかった事もあり、グラリと重心を崩すファリン。
「あ、危ない!」
すずかが腰を浮かして叫ぶ。
しかしその声に意味は無く、あわやファリンごとトレイに乗っていたものが床にぶちまけられ……
「ふ〜」
「やっぱりこのお姉ちゃん」
「「「ぼく達がいないとダメダメだよねぇ〜」」」
……てしまう直前に、何故かふよふよと宙に浮かび、トレイに載せられていた物たちはその場に止まっていた。
ファリンの失敗をカバーし嘆息をつくのは、3人の青白く小さい、のぺっとした小人たち。そう嘆息すると同時に手を振って、お菓子たちを触れずにトレイの上へと持って行った。
「ん…。ありがとう、ポルターガイスト」
純吾がお礼を言って、彼らが集めてくれたお菓子を何事もなかったかのようにテーブルへと持っていく。
その光景にテーブルのなのは達は、ビックリして声もでないといった感じだ。
「まったく、このメイドさんには毎回ヒヤヒヤさせられるわね」
ファリンも自分の失敗が大事に至らなかった事に気が緩んだか、どこからともなく聞えてきたその声に首を何度も縦に振ったが、ふと、自分が何故か羽交い絞めされていた事に気がつく。
「あ、あのリリーさん? 純吾君が無事お菓子を持って行ってくれた事ですし、これはずしてくれたら嬉しいなぁ〜、なんて」
「ええ。確かに純吾は、ちゃんとお菓子を持って行けたわよね?」
振り返ってみたリリーの顔は笑っていたが、声は全く笑いが含まれていない。
「今まで大目に見ていたけど、ついにジュンゴのお菓子を落としそうになるなんて……
あなた、そろそろ年貢の納め時だと思うのよ、わたし」
「「「ぼく達が何度フォローに入った事やら」」」
「えっ? えっ?」
突然のリリーとポルターガイストの言葉にきょろきょろと挙動不審になるファリン。
正直、突然の事に彼女の頭は働いていなかったが、それでも一つだけ彼女にも分かった事があった。
――このままいくと、絶対碌な事にはならない
「だ・か・ら」
しかしそんなファリンの胸中を知ってか知らずか。にこっ、と再びリリはファリンへ笑いかける。
しかし笑いかけられた方は、その笑顔が死刑宣告のように感じてしまう。ファリンの顔がサッと青ざめる。
「今から、私たちと一緒に特訓しましょっか♪」
「い、いやぁ〜〜〜」
ずりずりずり、と羽交い絞めされたまま扉へと移動させられるファリン。助けを求めるようにすずか達へ伸ばした手もむなしく、扉はバタンと締められてしまった。
「「「ふっふっふ。どんな事して楽し
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