第17話 猫神様と黒い魔法使い(1)
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がついたという様に扉から一歩横に避け、次の人が入ってくるのを待った。
「失礼します」という涼やかな声と共に入ってきたのは、この屋敷に相応しい、瀟洒なメイドだった。
ホワイトブリムを乗せ、流れるように艶やかな黒髪は後ろでひとくくりにまとめられていた。
首の前に結わえられた大きくて赤いリボンに、やや紫がかっている落ち着いた色合いのワンピースを着ており、その上に着ているふわふわのフリルのついたエプロンは、腰のあたりで動かない様に帯をしっかりと結わえ、ほっそりとした腰をより強調していた。
足音すらたてず静かに部屋の中に入り一礼をする彼女。
優美な笑顔を顔に浮かべ丁寧にお辞儀をする様は、主とその客人をもてなすために家事をこなす者として一流の風格を醸し出していた。
そんな洗練されたメイドの様子に、純吾を除く全員が彼女を直視して固まるが
「……って、リリーさんじゃないですか! 何やってるんですかそんな恰好して」
一足先に我に返ったアリサがそのメイド??リリーに驚きの声をあげた。
その声にゆっくりとあげはじめた顔には、先程の気品あふれるものとは全く違ういたずらを成功させた子供の様な笑みを浮かべていた。
「あら、忍やすずかにメイドが居るのよ? だったら、ジュンゴにだって居たっていいじゃない♪ それに、今日は気分転換の日だっていうし。驚いてもらえたかしら?」
アリサの声にドッキリが成功したと思い、まだ呆気にとられていた面々に向かって楽しそうにリリーは答えた。
「ん…。リリム、似合ってる」
「ふふっ。ありがとね、ジュンゴ?」
そうやってリリムは例の如く純吾を抱きかかえる。
もうさっきまでの洗練された雰囲気は霧散させて、いつものバカップル(一方的なものだが)オーラをばらまき始めていた。
「ふぇぇん、リリーさ〜ん。挨拶終わられたのなら、早くのいてくださいよぉ〜。」
と、リリー達の後ろから情けない声が聞こえてきた。
その後、少しよたよたしながらめいっぱいお菓子やら飲み物の紅茶やらを乗せた大きいトレイを持ってファリンが入ってきた。
「あら、御苦労さまファリン♪」
「御苦労さまじゃないですよぅ。いきなり私に全部持たせてさっさと行っちゃうんだもん、腕が限界ですよ〜」
純吾を抱きかかえたまま、首のみファリンに向けねぎらいの言葉をリリーが送るが、それにファリンは涙目で返した。
今いる客間から調理場までは結構な距離があり、普段では持ちなれない重さに腕はふるふる震えて限界寸前だったのだ。
「……あっ、なのはお嬢様、それにユーノ君も。本日はようこそって、きゃあ!」
しかしそれでもテーブルに座っていたなのはとユーノを見かけたファリンが、律儀にもトレイを持った
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