第17話 猫神様と黒い魔法使い(1)
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「…今日はリリーさんに遭わなくて済みそうだ……」
「あら…きょうや…そんなに期……してたの?」
「ち、ちがっ! 忍だって分かって……」
足早に去って行ったのは、どうやらここ最近の恭也の天敵たるリリーから、2人だけで過ごせる時間を守るためだったようだ。
「……っと、そういえば純吾がいないんだけど、どうしたの?」
恭也と忍が出て行ってもひとしきり同情の視線を送っていたユーノが、そう声をあげた。
「純吾君なら、作った料理もってくるってなのはちゃんが来る前に出て行ったよ」
「そうなんだ。けど、お疲れ様でこうやって集まったのに、何だか申し訳なくなっちゃうね。純吾君、いっつも一番前で頑張ってくれてるのに」
答えてくれたすずかの方を見やりつつ、困ったようになのはが言う。
なのは自身も封印の為に魔法を使っているが、それを当てられるように毎度囮を買って出ているのは純吾とその仲魔達だ。
一番多く動き、一番危険が大きい役割を担ってくれている彼に休日まで動いてもらうのは、どうしても気が引ける。
「いいじゃない。なのははこうやってだらけて気が休まって、純吾は料理を作ると気が休まる。それがあいつの息抜きなんだから、私たちは期待して待ってればいいのよ」
アリサがそうなのはの憂鬱を紛らわせるようにきっぱりと言い放つ。
それを聞いて気持ちを切り替えたらしいなのはだが、今度は違う事で不満を漏らし始めて頬を膨らます。
「むぅ、アリサちゃん。それだと私がなまけものみたいなの」
「あら、そうじゃなかったの?」
「もぅ!」
そんな風にしばらくの間、肩ひじ張らなくていいゆったりした雰囲気でお喋りはコンコン、と扉をノックする音が聞こえてくるまで続いた。
「は〜い、どうぞ」
間延びした声で、すずかが扉に向かって声をかける。扉があいて
「……なのは、ユーノ。らっしゃーせー」
料理の準備が終わったのか、色とりどりのお菓子を乗せたトレイを持った純吾が入ってきた。すずかの声に、こちらも間延びした声で挨拶を返す。
「にゃはは。こんにちは、純吾君」
「うん、こんにちは純吾。でも、らっしゃーせーって、聞いたことない挨拶だね」
「あんなの使ってるの居酒屋か、どこぞのさびれた田舎のガソリンスタンドだけよ。それと純吾、後ろにまだ人がいるんじゃないの?」
こちらの世界についてうといユーノの言葉に、アリサがやれやれと首を振りながらそう答えた。本人には全く悪気はないが、この世界の事をあまり知らないユーノに妙チクリンな常識を教え込みそうで、ちょっと心配だとアリサは思っていた。
ひそかに“妙チクリンな常識”を持っている事と認定されてしまっていた純吾は、あぁ、と今気
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