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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
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の使い魔である俺と言う存在を知っている事はないし、まして、『タバサ』などと言う偽名に反応する訳もない。
 更に使い魔として俺が召喚される前の彼女なら、俺との間に霊道は存在してはいない。つまり、直通の【念話】のチャンネルを開く事も難しいと言う事。

 但し、因果の糸。つまり、ある程度の(えにし)は結ばれているはず。そうで無ければ、彼女が開いたランダム召喚の召喚ゲートが俺の前に開く事はない。
 まして、俺とある程度の縁が結ばれた相手を救う理由で無ければ、俺をわざわざ夢の世界、集合的無意識に呼び寄せても意味はない。

 そして、俺とある程度の絆で結ばれた相手は、タバサしか居ない。

 ならば……。

 未だ健在の、懐かしき思い出を喚起する、夕日に染まった街を見つめる。

 そして、意を決して三度、急降下を行いショゴス(仮)に接近を試みる俺。
 そして、その俺に対して三度、同じように触手を伸ばして来るショゴス(仮)。その様子は、まるで、彼女自身が、俺を求めているかのような錯覚さえも与える。しかし、それは有り得ない。

 彼女が、俺を傷付ける事など望むはずがない。彼女が、俺を取り込む事など望む訳がない。

 右手の起動させた如意宝珠製の七星の太刀を無造作に振り抜く俺。
 刹那、紅い世界の中に閃いた銀の光が、俺に迫り来る黒き触手を斬り裂いた。

 その瞬間に響く少女の悲鳴。

 この世界は夢の世界。つまり、現実の世界ではない。例え、腕が跳ぼうが、脚がもげようとも、自らが死亡したと思い込まない限り実際の身体に害が及ぶ事はない。
 そう自らに言い聞かせながら宝刀を振るい、一直線に、先ほどタバサの胸像が存在した地点に向かう。

 強い腐臭を放ち、しかし、更に、俺を同化しようと近付く触手の群れを振り切り、彼女の姿が有った場所へ。

 先ほど、タバサを呑みこんで仕舞った場所には、最早彼女の胸像が存在していた事など感じさせる事もなく、ただ、不気味な黒い何かがしきりに収縮を繰り返しているだけの場所と成っていたのですが。

 先ほど滞空した場所から、更に黒い原形質の何かに接近する俺。それと同時に、更に強くなる腐臭。
 殺到する黒き触手を右手に捧げし宝刀で薙ぎ払う。

 その一瞬の後、ズタズタに斬り裂かれた闇色の何かが飛び散り、絶対に聞きたくない少女の悲鳴と、そして耐えられないレベルの腐臭を撒き散らして、地上へと落下して行く黒き肉塊。

 漆黒の巨体は最早目の前。其処まで近付いて、ようやく身体のあちこちでチカチカと明滅を繰り返していた緑色の光が、形成され、そして次の瞬間、また元の黒い小泡となっている不気味な『目』で有る事が判った。

 迷いや恐怖を無理矢理呑みこみ右手を一閃。

 そう、先ほど夢の世界のタバサ
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