第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
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やってみましょう」
☆★☆★☆
「……さて。そうしたら、現状確認から。現在の俺は、精神のみの存在」
遙か上空より、その黒き不定形の何かを見つめながら、独り言を呟くかのようにそう口にして見る俺。物悲しい赤に染まった世界と、冷たい冬の大気。そして、古のものに造り出された奴隷生物と、彼に造り出された黒の対比が俺の心を妙に不安定にしている。
そう。赤が、流された生命を司る液体を指し示し、黒は、無を表現しているようで……。
……一応、如意宝珠は俺の精神と共に有るから問題なく起動する。
仙術に関しては、五遁木行以外は、それぞれの式神頼みだったから、かなりキツイ。
呪符は全て現実世界に身体と共に置いて来ている。
龍種としての生来の能力は行使可能。
現状の俺では、ショゴス(仮)の無力化は難しいと言う事ですか。
少しの不安を、首を振る事に因って無理矢理消去。今は、もう少し、情報が必要。
取り敢えず、高度を下げて、そのショゴス(仮)に近付いて、ヤツの何処に、その彼女と言われる存在が囚われているのか確認をしてみるべきでしょうか。見た感じ、怪しいのは先頭部分の妙な突起と成っている個所なのですが……。
そう思い少し高度を下げてみる俺。腐ったような腐臭が鼻を衝くのですが、この程度の事を、一々、気にしている訳にも行きません。
大体、全長で三十メートルぐらいですか。厚さに関しては、上空からの観察では、はっきりとは判らず。確か、現実世界にコイツが現れる可能性は低いですし、それに、地球上にはいないと言われていたと思いますから、現実に冷気が効くかどうかは不明と言う感じですか。
もっとも、この世界は夢の世界で有る以上、本当のショゴスとは別の存在だとは思いますが。
おそらく、精神世界で有る以上、悪意や憎悪などの陰の気の塊だとは思います。そしてその部分を、俺が悪臭として感じているのだと思いますから。
瞬間、高度を下げた俺に対して、触手……と言うべきなのでしょうね、黒い不定形の身体のあちこちがチカチカと明滅を繰り返したかと思った刹那、俺の方に向け、複数の黒い肉塊を伸ばして来た。
その蜘蛛の巣状に張り巡らされた触手が、俺を取り込み、同化しようと襲い来る!
……って言うか、こいつ、そう言えば知性が有ったか。伝承上では、その得た知性によって、造物主を滅ぼした存在でしたか。
最初のひとつを急加速で振り切り、ふたつ目を急降下で回避し、三つ目と四つ目を同時に閃いた銀光が斬り裂く。
刹那、南極に住むと言う白い巨大な鳥の鳴き声に重なる、明らかに女性と思しき悲鳴が俺の精神を揺さぶり、同時に少しひるんだかのように触手を自らの黒きタールの如き
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