第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
素でも有れば問題なく倒せたと思うのですが。
物語や伝承で語られている、アイツと同じような存在ならば。
おそらく、この目の前の女性が俺の思っている存在とイコールで繋ぐ事が出来るのならば、彼女は闇と冷気を司る女神です。伝承に有る個体よりも遙かに巨大な個体とは言え、液体窒素でどうにか出来る程度の相手では、どう考えても、瞬殺出来るのではないでしょうかね。
そう思い、冥府の女神の指差す先を見つめ直す俺。
確かに、この眼下で蠢く生命体は、あの神話内に存在するアイツだとは思うのですが。
但し、ここが夢の世界で有る以上、厳密に言うと伝承や物語に登場するアイツとは違うようにも思いますが。
例えば、ヤツが通って来た後に何も残す事なく、ただ黒い空間だけがぽっかりと口を開けているかのように見えている点などが……。
そう思い、更にその黒い生命体に対して、能力を総動員して見つめる俺。
……ん。何か、異質な雰囲気を彼の生命体から感じるのですが。
「彼女を救い出して欲しいと言う事です」
冥府の女神ヘカテーが、その微妙な違和感にようやく気付いた俺に対してそう言った。
……と言われても、現状の俺には、何処に、誰が囚われているのかも判らないのですが。
俺が感じたのは、所詮は違和感レベル。具体的に何処がどうおかしいのか、はっきりとした言葉では言い表せられない、もやもやとした感覚と言った方が近いモノ。
「貴方に、彼女を助けられないのなら、あの魔物を放置すれば、やがてこの世界を完全に滅ぼす存在で有る以上、彼女と共にあの魔物を滅ぼさねば成りません」
先ほどまでと変わらぬ雰囲気で、しかし、非情な台詞を口にする冥府の女神。
成るほど。その彼女と言う存在が誰かは判らないけど、魔物と共に滅ぼされたら、現実世界にも問題が出て来る可能性も有ります。
確かにここは夢の世界。但し、俺の感覚では、殆んど現実世界と変わらない世界。
夕日を感じ、冬の寒さを感じ、そして、頬に風を感じる世界。
ここまでの現実感を持っている世界で、もし、魔物と共に精神が死する結果と成った場合、現実世界での、その彼女と言われる存在の心が死んでしまう可能性が有ると言う事。
もっとも、何故に冥府の女神が、そのショゴスらしき存在に囚われている彼女を助けようとしているのか、と言う事が気にならないでもないのですが……。
まぁ、良いですか。助け出したら、その理由が判る可能性も有ります。まして、それでも判らなくて、尚且つ、俺自身が気になったのなら、彼女、冥府の女神ヘカテーに素直に聞いてみたら済むだけですから。
ならば、答えはひとつ。
「判りました。確実にその彼女と呼ばれる存在を助け出せるとは限りませんが、出来る限り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ