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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
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るのならば。

 そうだとすると、この依頼に関しては、所謂、神の試しと言うヤツに成るのでしょうね。

「その、為して貰いたい事と言うのは、どのような事なのでしょうか」

 落ち着いた雰囲気で、更に取り乱す事もなく淡々とそう問い返す俺。この場で慌てても仕方がないですし、そもそも、この手の依頼を拒否しても始まりませんから。

 神の試しと言うのは、得てして生命の危機に陥るような物が多い物です。但し、この試しを乗り越えない限り、俺はこの悪夢から目覚める事が出来ない、と言う(シュ)を受けているのでしょう。
 夢から覚める方法は知っている、と言われても、俺には目覚める方法がさっぱり判りませんからね。

 ……と言うか、今現在、俺自身に眠っている。夢を見ていると言う自覚がゼロの状態なのに、其処から目覚める方法と言われても……。

 目深に被ったベールから彼女の表情を見る事は出来ませんでした。それでも、断られるとは思っていなかったのでしょう。それまでの彼女と、雰囲気も、そして口元だけが見えている表情からも、まったく変わった点はないように思われました。

 そう、口元にだけ、ほんの少しの笑みを浮かべた表情はまったく変わる事が無かったと言う事です。

 そして、次の瞬間、自らの立っている場所が変わった。
 刹那、自由落下を開始する前に、自らの身体を現在の場所に浮遊させる俺。

 ……って言うか、いきなり空間転移のようなマネを為すのなら、俺の事も空中にホールドして置いて欲しいのですけどね。
 もっとも、ここは夢の世界ですから、その夢見る人物が飛べると思えば、誰で有ろうとも飛べるように成るとは思うのですが。

 それに、彼女の能力から考えてみると、人間に擬態した俺程度の能力などあっさりと見透かす事など訳がないですか。
 そして、空を飛べない青龍など存在しては居ませんしね。

「貴方には、あれをどうにかして貰いたい」

 女性占い師が遙か下方を覗き込みながら、落ち着いた、彼女に相応しい声でそう俺に告げて来た。

 彼女が上空から見下ろすその先……俺の足元から少し先までを占める黒い何か。
 そして、その黒い何か……腐ったような悪臭を撒き散らし、原形質の小さな泡で出来た不定形の塊が、不気味な伸縮を繰り返しながら紅に染まった街を踏み潰し続けていた。

 彼の進んで来た後には、何ひとつ残す事もなく……。

 刹那、とある作家が書き記した、南極に住むと言う巨大な白い鳥の鳴き声が響く。

 ……確かに、厄介な相手ですね。ですが、この程度の相手を、魔術の女神と評される彼女がどうこう出来ない訳はないでしょう。
 確かに、全長で三十メートルほども有る巨大な個体だけに厄介な存在だとは思いますが、こいつを倒すには確か、液体窒
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