第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
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、見た事のない銀製と思しき複雑な意匠を凝らしたブレスレッドが光っていたのですが。
【シャルロット、その手を離すなよ】
俺の【念話】に、少し、しかし強く首肯くシャルロット……いや、タバサ。
……少し違和感は残るけど、見た目も雰囲気も、そして、仕草もタバサそのもの。
ここは夢の世界。誰かが……。いや、おそらくは夢の主格の可能性の高いタバサが俺の事を信じてくれたのなら、このショゴス内部からでも間違いなく帰還出来ます。
それに、彼女に信じて貰うのに、俺自身が自分を信用しないでどうする。
俺は左腕一本でタバサの左手首を。タバサの方は両手で俺の左手首を握る形。この形ならば、早々、離す事は有りません。
そして、徐々に吸い込まれていた身体が、完全に拮抗したのか其処から動かなくなる。
但し、其処まで。ここから先に、タバサを連れ出すには何かが足りない。
俺の方は、自らの生来の能力でこれ以上、ショゴス(仮)が取り込もうとする力を阻止する事は出来ているのですが、このショゴス(仮)の身体自体に、何処にも踏ん張るような個所が無い為に、俺自身の力を使って脱出する方法が今のトコロはない。
精神力勝負か。……と言うか、相手には時間は無限に存在するけど、俺の方は、精神力が切れたら終わり。諦めても終わり。時間が掛かり過ぎても終わり。
どうも、分が悪過ぎる戦いを強いられているな。
しかし、弱気を見せる訳には行かない。俺には、このタバサをショゴス(仮)内部より連れ出すと言う役割を冥府の女神から依頼されているのと、それ以外にもタバサを護ると言う約束を交わしている。
使い魔契約と言う形で。
この俺の左腕を掴んでいる少女の未来の少女と。
タバサ……いや、おそらくは俺と出会う前のシャルロットを見つめる。
ほんの少しの笑みを浮かべて。
彼女の方も俺を見つめ返す。その瞳は宇宙の蒼。そして、このショゴス(仮)の核と成っているとは思えないような、今、俺が知っているタバサと同じ、深い理知的な光を放っていた。
そして、タバサ=シャルロットがゆっくりと首肯いた。
良し、行ける!
身体に掛かるベクトルを後方に。この一瞬に全精神力を使い切っても構わない。
彼女が信じてくれるのなら、不可能を可能にして見せる。そう強く思いながら、最後の悪あがきに等しい行動に移る。
刹那、夢の世界に残ったままの俺の右手に何かが触れた。
いや、触れただけではない。俺の右手はしっかりと繋がれ、ショゴス(仮)から俺を助け出す為に、力が籠められて行く。
何となく覚えのある、小さく、それに柔らかい手の感触。
ショゴス(仮)から、化鳥の如き苦
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