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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第31話 夢の世界へ
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が包み込まれたと思しき場所に斬り込みを入れる。
 そして、その一瞬の後、その切れ目に左手を押し込む。

 ぬるりとした嫌な感触。その感触だけでも、そのまま恐怖から逃げ出して仕舞いたくなる。

 但し、こいつが伝承上のショゴスと同じ能力を有していると仮定するのなら、ティンダロスの猟犬ほどではないにしても、かなり高い自己修復能力を有していたはず。故に、こんなトコロで、恐れや躊躇いぐらいで貴重な時間を浪費する訳には行かない。

 奥へ。そして、そのまた先へ左手を伸ばす。何かを掴み取るまで。

【シャルロット!】

 耐え難い悪臭と、左手の先から腕、そして肩に到るまでに感じる激痛。しかし、俺の身体(精神体)を同化しようとするショゴス(仮)の干渉を精神力のみで排除し続ける。
 伝えるのはイメージ。それは、俺の持つタバサのイメージ。今は、ショゴス(仮)に完全に同化されていたとしても、俺の魂と結びついている部分の方が強ければ、彼女の魂をこの怪物から切り離す事は出来る。

 そう現実世界ならば、このような事はとても出来る事ではない。
 しかし、ここは夢の世界。この世界ならば、精神力だけで有る程度は無理が効く。
 いや、効くはずだし、効かせて見せる!

 俺の強い【呼び掛けに】対して、【念話】に成らない念のような物が返される。

【シャルロット、聞こえているならこの手を掴め!】

 この世界を護る為に、タバサの精神を殺させる訳には行かない。例え、それが過去に彼女から切り離され、心の奥底に沈められた復讐心だったとしても。
 俺の役目は彼女を護る事。その俺は、この夢の世界を壊す事も、そしてタバサの精神を殺す事に対しても、どちらも否と答える。

 声を大にして。

 最早肩を過ぎる辺りまでショゴス(仮)に左腕を押し込んだ俺の手に、何か小さなモノが触れた。
 ショゴス(仮)に完全に取り込まれていた訳では無かったのか、それとも、俺の呼び掛けに因って自我を取り戻し、ショゴス(仮)に取り込まれた曖昧な状態から、自分が再び形成されたのか。

 その手をしっかりと握りしめる俺。しかし、

【わたしの事は気にしなくても良い】

 そう【接触型の念話】で告げて来るタバサ。……少しの違和感が有るのは、矢張り、彼女の憎悪や復讐心が生み出した存在だからなのか。

 そして、そう伝えて来たタバサが、つないだ手を離そうとする。
 しかし、俺の方が離さない。そもそも、能力の強化が為されている俺の手を、彼女が振りほどけるはずはない。

 そして……。

【悪いが気にするか、気にしないのかを決めるのは、シャルロット。オマエやない】

 そもそも、気にしなくて良いと言われて、はいそうですか、と引き下がる訳がない。
 まして、そ
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