後日談8 クリスマス、リンスがやって来る
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おばさんはいきなり俺達に向かって頭を下げた。
星が慌てて止めようとしたが、頭を下げたまま動かない。
「いきなりどうしたんですか!?みんな見ていますから頭を上げてください!!」
と、俺に言われ、渋々頭を上げたおばさん。
一体どうしたんだ?
「私達おばさん達の間では有栖家について悪い噂が流れていたのよ。多くの子供達を預かって、預かっている人は忙しくて中々帰ってこれない。そんな環境でまともに子供達が育つわけがないってね。だけど現実は違ったわ。星ちゃんと仲良くなったのは星ちゃんが中学に入ってからだったけど噂とは全然違かった。」
そう言って星を見るおばさんの目はまるで我が子を見ているようだった。
「礼儀正しくて、素直でしっかりしてて。噂とはまるで違ったわ。そして今日初めて会った零治君とキャロちゃんを見て確信したわ。星ちゃんだけじゃない、有栖家みんなちゃんと良い子に育ってるってね」
「おばさん………」
「何か困ったときは相談してちょうだい。絶対に力になるから」
………本当にいい人だなこのおばさん。
「はい、ありがとうございます………」
「「ありがとうございます」」
俺の後に星とキャロが続いてお礼を言った。
「それじゃあ私はもう行くわね。よいクリスマスを………」
そう言ってカートを押して行ってしまった。
「あのおばさんは私がタイムセールで困っているときに助けてくれたのがきっかけで仲良くなったんです。料理のレパートリーなんかも教えてくれたりしたんですよ」
「そうなのか………」
「本当に優しくていい人です」
やっぱりどこの世界にもいい人はいるんだな………
さて、買い物も終わり、大量の荷物を持って自宅に帰ってきた。
「疲れた〜寒い!!」
そう言って玄関に荷物を置きっぱなしでこたつに潜るライ。
アギト以上にライの方が猫っぽい気がする。
「何をしておる、これからクリスマスパーティの準備をするのだ。こたつに潜ってる暇など無いぞ」
「痛た、痛いよ夜美………手伝うから首引っ張らないでよ………」
首を引っ張られ、渋々こたつから出てくるライ。
「全く………姉の立場のライが怠けていてどうする。見ろキャロ達を」
「お兄ちゃんこれは?」
「ああ、とりあえず台所に運んでおけば良いよ」
「レイ、開けて良い?」
「いや、それプレゼントだから開けちゃダメだって優理」
「じゃあ、居間に運んでおけば良い?」
「そうだな。とりあえずそうしといてくれ」
零治の指示を聞いた優理はプレゼントの入った袋を居間に運ぶ。
「これじゃあどちらが姉か分からんな?」
「!?レイ、僕も手伝う!!」
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