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戦国異伝
第四十一話 奇襲その十
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まで家臣達にさらに話していく。
「この季節の今の刻は雨が多いな」
「確かに。この辺りはです」
「とりわけそうです」
「だからじゃ。それであえてこの刻にした」
 攻めるというのだった。信長はだ。
「出羽の調べを受けてな」
「かたじけない御言葉」
 その梁田が応える。彼は土地勘だけでなくだ。そうした雨のことまで調べていたのだ。
「その通りになった。ではじゃ」
「はい、それでは」
「今よりですな」
「一気にですね」
「今川の本陣に」
「うむ、行くぞ」
 信長は言った。そうしてであった。
 織田軍二千は今川五千の本陣に向かう。一気にだった。
 今まさに運命の戦がはじまった。信長は勝利を掴もうとしていた。そしてそれがもたらすものもだ。手に入れようとしていたのであった。


第四十一話   完


               2011・5・11
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