第四十話 桶狭間へ七
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「ふむ。これはじゃ」
「殿、一体何が」
「何が起こりましたか」
「将星が一つ大きく輝きだした」
こう周りの者に言うのである。周りも皆緑の服だ。
「それも一際な」
「といいますとどの星ですか?」
「それでは」
「あの星じゃ」
老人はその空のだ。青く強く輝く星を指差してみせた。その星だというのだ。見ればその星はだ。確かにかなり大きく見えるものだった。
その星を見てだ。老人の周りの者達も言うのだった。
「むう、あれは確かに」
「かなり強い光ですな」
「これまで見たこともないような」
「大きな星です」
「東の空に輝いておる」
見ればだ。まさにその通りだった。
その青い星は東の空で大きく輝いていた。そうしてだ。その周りにも無数の星達がある。どれも青い光を放っているのが見える。
その星達を見ながらだ。老人は話していくのだった。
「どうやら。勝つな」
「勝つというのですか」
「近々東で大きな動きがありだ」
それがだ。どうなるかというのだ。
「ここにも伝わるな」
「安芸にもですか」
「この国までにも」
「そうじゃ。近いうちに伝わる」
何処で何が起こってもだ。話は伝わって来る。戦国の情報の伝達もかなり速いのだ。それはまさに風の如しなのである。
「大きな話がな」
「左様ですか。大きなことがですか」
「東で起こりますか」
「そういえば」
ここで周りの者の一人が言った。
「あの星の色は青ですが」
「わかったな」
「はい、青といえば尾張です」
この者はこう言うのだった。
「織田です」
「そうじゃ。織田じゃ」
まさにだ。その織田だとだ。老人は言うのである。
「織田が大きな戦に勝つぞ」
「といいますと今川ですか」
「丁度今川が兵を起こしましたが」
「その今川に勝つ」
「そうなりますか」
「うむ、そうなるな」
また言う老人だった。
「それもただ勝つだけではない」
「そこから大きなものを得る」
「そうした戦になりますか」
「そうじゃ。なる」
まさにだ。信長は勝ちだ。そこから途方もないものを手に入れるというのだ。
こう話してだ。老人はだ。次にこんなことを言うのだった。
「我が毛利もだ」
「はい、我等も」
「我が家も」
「このわし。毛利元就もじゃ」
己の名もここで言うのだった。
「もう一つ大きな戦に勝つとするか」
「陶、大内の次は尼子」
「あの家ですな」
「出雲を手に入れる」
尼子の本拠地であるだ。その国をだというのだ。
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