第三十話 交差その十一
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殿もまた」
「龍ですか」
「それであると」
「そう仰るのですね」
「そうじゃ」
まさにだ。その通りだというのである。
「この伊達政宗はそうじゃ」
「龍でございますか」
「若殿もまた」
「そうよ。龍は龍でも」
不敵な笑みと共にだ。その男伊達政宗は言う。
「独眼龍じゃ」
「それでございますか」
「あの二匹の龍に対して」
「若殿は独眼龍」
「そうだというのですね」
「その独眼龍は只の龍ではないぞ」
天を見上げた。蒼天をだ。その青い空を見上げながらだ。彼はまた言うのだった。
「天下を自由に飛ぶ龍じゃ」
こう言うのであった。
「二匹の龍も。虎も獅子も従えてじゃ」
「甲斐も相模もでございますか」
「そうされますか」
「そうじゃ。そうするぞ」
天下を見ていた。それを言った言葉だった。
「わしはこのみちのくで終わらぬ。天下を手中に収めるぞ」
「では我等も」
「若殿と共に」
「天下を」
「奥州?羽州?小さい小さい」
彼等が今その場所はだ。政宗は一笑で終わらせた。
「天下よ。天下に羽ばたくぞ」
こう言うのであった。そうしてであった。
奥羽でもだ。一人の英傑が出ていた。今天下に数多くの英傑達が生まれ出ていたのだった。
第三十話 完
2011・3・3
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