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戦国異伝
第三十話 交差その一
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手なのじゃ」
「まあ。平手殿の小言は殿に一番いきますからなあ
「始終言われますから」
「それを聞くとなればですな」
「確かに厄介ですな」
「全く。留守を任せて正解じゃった」
 本来の意志はそこまでではない。しかしなのだった。ここではこう言うのであった。
「小言を聞かなくて済んだわ」
「しかし尾張に帰ればです」
「その小言が待っております」
「覚悟されて帰られるべきかと」
「やれやれじゃな。しかしじゃ」
 わざと溜息を出してからだ。信長は表情をすぐに真剣なものにさせてだ。
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