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とある星の力を使いし者
第18話
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して粉塵だけではなかった。
周辺に飛び散った破片が宙に浮かび、崩れた壁が起き上がると断面同士がくっつき傷口も粘土をヘラで整えるように塞がっていく、その光景はビデオを巻き戻すような光景だった。
バラバラに落ちた人々が亀裂の中へ吸い込まれていきビルの傷口も塞がっていき、気づけば「三沢塾」の四棟のビルが何事もなくそこに建っていた。

(巻き戻される・・・・まさか!)

上条が夜空を見上げた瞬間、「三沢塾」の屋上から天を穿つように、紅蓮の神槍が解き放たれた。
言うまでもなく術者の元へ巻き戻ったのだ。
上条の横から呆然とした声が聞こえ、見ると鎧を着た人が膝から力が抜けて座り込んでいる。
上条はこれがアウレオルス=イザードの真の実力なのだと知る。
どうやって戦えば良いか、と上条は呆然と立ち尽くしてしまうが、それを振り払うように元に戻った「三沢塾」へと走った。





北棟の最上階でアウレオルス=イザードは佇んでいた。
最上階は「校長室」と名付けられ一フロアを丸々使った巨大な空間だ。
アウレオルスは窓の外の夜景に見ている訳ではない、窓に映る己の顔を見ていた。

(存外、遠くまで歩んできたものだ。)

言葉一つ、本当に「元に戻れ」の一言で。
生き物のように起き上がったビルを見て眉一つ動かさない己の顔を眺めながら、アウレオルスはそんな事を考える。
アウレオルスの背後には黒檀の大きな机があり、そこには一人の少女が寝かされている。
Index-Librorum-Prohibitorum、禁書目録。
アウレオルスはこの少女を助けたいだけだった。
アウレオルスと彼女があったのは三年前。
彼は教会に所属しながら、魔道書を書き写すという特例中の特例でその書き写した魔道書で多くの人間を救える、守れると信じていた。
だが、ローマ正教は彼が書き写した魔道書を自分達の切り札にして、自分達の宗教に所属していない人達を救わなかった。
アウレオルスはそれが許せなかった、自ら編み出した「切り札」は全ての人々を救えると信じていた。
彼は「本」を外部に持ち出す事にした、そしてその外部がイギリス清教で内部に接触することが出来た。
そこで決して救われない少女(じごく)がいた。
一目で分かってしまった、世界の全てを救いたいと願った錬金術師は目の前の少女だけは決して救う事ができないと。
その通りにアウレオルスは少女を救う事が出来なかった。
一〇万三〇〇〇冊もの魔道書を抱えていた少女はその知識(もうどく)に侵されていた。
その少女を助ける為にアウレオルスは魔道書を書き続けた。
だがどれだけ書き続けても失敗に終わりアウレオルスは気づいた。
この方法では誰も救えない、と。
アウレオルスは世界中の人間を敵に回しても少女を救えなかった、人体を
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