第二十七話 刺客への悪戯その十
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「それでは。結局のところは」
「この美濃一国までか」
「それ位の方か」
こう見るのだった。しかもだ。
安藤がだ。こんなことも言った。
「しかも御子息はな」
「そうじゃな、龍興様はあれでは」
「話にならん」
稲葉と氏家も安藤のその言葉に頷く。無論不破もだ。
「あの方が美濃を継がれたら最早な」
「武田に獲られるか朝倉に獲られるか」
「若しくは六角か」
斉藤の敵は多い。これも事実だった。彼等の敵は織田だけではないのだ。
「どちらにしろ暗澹たるものだな」
「少なくとも我等が仕えるに相応しい方ではない」
「それは間違いないな」
「そうじゃな」
三人衆と不破、合わせて四人衆がそれぞれ話していく。
「しかし。あくまであのままだとだ」
「大きくなられてはわからんが」
「そうじゃな」
「まだ見るべきか」
「それではです」
これまで黙って四人の話を聞くだけだった。竹中がこの場でははじめて口を開いた。そうしてそのうえでだ。彼は四人に対してこう話したのだった。
「一度それがしがしてみせます」
「してみるとは」
「一体何をじゃ?」
「何をするつもりじゃ?」
「少し悪戯を」
まずはこう言うのであった。
「織田殿の様に」
「あの御仁の様にか」
「するというのか」
「はい、左様です」
その通りだとも言うのであった。
「どうもあの方のああしたところを真似てみたくなりました」
「刺客達のところにわざわざ顔を出したそうじゃしな」
氏家がそのことを話した。
「それで奴等を驚かせて退散させたとか」
「普通そうしたことはせんからな」
稲葉もそのことについて言及した。
「普通刺客の場所がわかれば手の者をやって始末する」
「左様、わしでもそうする」
それは氏家もだった。だからこその言葉だった。
「そうしてあっさりと終わらせるわ」
「そうじゃな。しかし織田殿は」
「あえてそうしたのう」
安藤も話す。そのことをだ。
「自分で顔を出して驚かせた」
「悪戯じゃが」
「かなりの胆力がないとできんぞ」
「そして自分がその場合殺められぬという読みがなければ」
「とてもできんな」
「全くじゃ」
三人衆にもだ。このことはよくわかった。自分ができるかと自問自答すればだ。誰もそれは無理だった。それがわかるからっこそだった。
「とてもな」
「できるものではない」
「わしもじゃ」
こう言うのだった。まさにその通りであった。
不破もだ。三人と同じであった。
「織田信長、わしの見た以上の者か」
「それがしもそう思います」
竹中はここでは真剣な顔であった。先程までの悪戯を話す顔ではなくなっていた。
「あの方はやはり」
「そうじゃな。間違いなくじゃ」
「ですが。まだ読みたいと
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