第二十七話 刺客への悪戯その八
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「あの者達がです」
「では許せることかどうかわかるのう」
「許せませんな」
佐々はまた厳しい顔になって述べた。
「決して」
「そうじゃ。民の為じゃ」
また言う信長だった。
「あの者達は放ってはおけん」
「ではやがては」
「わしも好んで戦はせぬ」
必要だからこそする。それが信長の戦への考えだった。避けられぬならば避ける、それは信行の時にも見せた彼のやり方である。
「だからじゃ」
「それで、でございますか」
「そうじゃ。あくまであの者達次第じゃ」
その延暦寺の者達次第だというのである。
「それを決めるのはじゃ」
「行いをあらためれば」
「何もせぬ」
それは確かだというのであった。信長の言葉もぶれない。
「僧として然るべき行いをしていればじゃ」
「しかしそうでなければ」
「容赦はせぬ」
そういうことだった。
「決してな」
「ですがそれをすれば誰もが怯えますが」
「延暦寺とことを構えればか」
「はい、そうなろうともですね」
「それでもやらねばならなければやる」
断固とした口調だった。やはりぶれない。
「天下の為にはな」
「天下万民の為に」
「そういうことじゃ。さて」
ここまで話してだ。また言う信長だった。
「そろそろ宿じゃな」
「はい、そうですな」
「飲むのじゃな、また」
佐々にだ。酒を飲むのかと尋ねた。
「そうするか、今宵も」
「そのつもりでございますが」
「では飲むがいい。御主達はな」
「殿はいつも通りでございますか」
「うむ。わしは酒はよい」
それはだというのだった。相変わらず酒は飲めない信長だった。
そのうえでだ。佐々に対してさらに話すのだった。
「茶か水を飲むとしよう」
「茶でござるか」
「やはりあれはよい」
茶についてはだ。笑顔で話す信長だった。
「飲んでおると落ち着くしのう」
「それがしも茶ははじめておりますが」
「よいものであろう」
「はい、確かに」
こう答えるのだった。
「茶も。あれで」
「酒だけでは面白くあるまい」
「確かに。茶もあればさらによいですな」
「そういうことじゃ。さて」
信長は宿の門をくぐった。佐々もそれに続く。そうしながらまた話す。
「では。土産話でもな」
「しますか」
そんな話をしてだ。彼等は宿に帰ったのだった。
そうしてそのうえでだ。彼等は刺客達の話をする。その夜はそれで盛り上がった。
信長達にとってはいい話だった。しかしだ。
義龍にとってはそれは正反対だった。義龍は家臣達に怒気を見せていた。
そのうえでだ。家臣達に対して言うのだった。
「どういうことじゃ。それは」
「まさか。あれが失敗するとは」
「あっさりと見抜かれてしまったようです」
「あのうつけが
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