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戦国異伝
第二十六話 堺その九
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ん者でござる」
 自分でこう言う慶次だった。
「政はできませぬ故。殿のお役に立てるのは槍以外にはありませぬ」
「政には興味がないのじゃな」
「はい、ありませぬ」
 佐久間盛重の問いにもはっきりと答える。
「城や国を持とうとも思いませぬ。ただ傾きたいだけでござる」
「おかしな奴じゃ」
 佐久間盛重はそれを聞いて首を傾げることしきりであった。他の者もである。
「土地を求めぬとは」
「食えればよく。後は気ままに傾いてでござる」
「ははは、慶次らしいわ」
 それを横で聞いてだ。前田が笑って述べた。
「御主は昔からそう言うからのう」
「ややこしいことは叔父御がしてくれますからなあ」
 彼もこう前田に返す。
「いや、それがしは気楽に悪戯ができ申す」
「全く。変わった奴じゃ」
「そういう性分でございますので」
「しかしじゃ」
 ここまで話してだ。前田も柴田と同じ顔になって慶次に言ってきた。
「御主の悪戯はじゃ」
「権六殿と同じことを言われますな」
「そうじゃ。実に性質が悪い」
 慶次の予想通りだった。やはりこう言う前田だった。
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