第三話 元服その七
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「服部家に連なる者達はいいのですが」
「伊賀者は別れているのか」
「そうだったのか」
これを聞いて周りの者が一斉に怪訝な顔になった。それは彼等の全く知らないことであったからだ。だから驚くのも当然のことだった。
「はじめて聞いたが」
「そんなことになっていたのか」
「服部家とは別に百地家があります」
滝川は服部とは別の家を話に出してみせた。
「この家の主である百地三太夫という者がどうにも怪しく」
「怪しいとは」
「またどういうことだ」
「得体の知れない忍術を使いそのうえ何か京にあがることも多く」
「京とな」
吉法師がその言葉に眉を動かした。
「ではあの地の者と関わりがあるのか」
「そう思われます。どうやら」
「どうやら?」
「松永弾正久秀とです」
あらたな名前がここで出された。
「どうやら関わりがあります」
「松永弾正とな」
それを聞いた平手の目が動いた。
「阿波の者とも西岡の者とも言われているが」
「その出自ははっきりしませぬ」
「そうだったな。妙な男だ」
平手は滝川の言葉にさらに述べた。
「摂津とも言われているが。わからぬ男だ」
「その者と会っているようです」
「伊賀か」
平手はここであらためて考える顔になって述べた。
「この尾張とも近いな」
「はい。ですが今はです」
「わかっている。知っておくことは大事だが」
それでもだというのだ。平手の顔は真剣なものだった。
「手出しをすることはできんな」
「はい」
「ふむ。面白い話だな」
吉法師は二人の話を聞いていた。それが一段落したところでまた述べたのである。彼もまた真剣そのものの顔になっていた。
「それは」
「伊賀は六角の領土であります」
林がこのことを言い加えてきた。
「あの家は昔よりあの地と近江の南に力を持っています」
「それも聞いている。だが近江の北は違ってきているな」
「浅井ですか」
「そうだ。あの家が力を伸ばしてきているな」
林に対して浅井の家のことを話してみせるのだった。
「あの家は今は大人しいが後ろにいるのは」
「朝倉ですな」
今度は柴田であった。実に面白くなさそうな顔をして朝倉という名前を出してみせてそのうえで主にも他の家臣達にも話すのであった。
「全く以って面白くない相手です」
「確かに。その通りです」
「まことに」
「それがしもそう思います」
柴田だけでなかった。他の家臣達も大なり小なり朝倉という家に対しては不愉快なものを見せる。奇しくも誰もがそうなっていた。
当の吉法師もだ。彼もまた不愉快な顔で話すのだった。
「同じ斯波氏の家臣筋であるがな」
「何かと織田を侮蔑しております故」
「我等の方が下だと」
「向こうの方が位は上だった」
吉法師は家
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