第二十四話 国友その十三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
そうしてだ。元康にさらに話すのであった。
「だが。妻や子を迎えてさらに大きくなってきた者は多く見てきた」
「だからこそなのですね」
「うむ、妻を迎えよ」
また元康に話した。
「わかったのう」
「わかりました。それでは」
「いい妻を探しておく」
ここで雪斎の顔が微笑みになった。
「そなたに相応しいのをのう」
「それがしが妻をですか」
「信じられぬか」
「はい、どうも」
「今はそうでも変わる」
また微笑みと共に語る雪斎だった。
「実際に迎えればな」
「ううむ、そうなのですか」
「まあ妻を入れて悪いことはない」
それは間違いないという言葉だった。
「わかったな。それではだ」
「果たして誰がそれがしの妻に」
「うむ。実は一人考えておる」
「どなたですか、それは」
「あれじゃ。関口のじゃ」
こう聞くとだった。元康はすぐにその名を出した。
「瀬名殿ですか」
「うむ、あれをと考えておる」
「それはまた」
瀬名とわかってだ。元康はここでまた驚くのだった。そのうえでの言葉だった。
「それがしとはかなり」
「歳が開いておるというのだな」
「はい、左様で」
「御主にはその方がいいと思ってじゃ」
「それで、でございますか」
「そうじゃ。御主はしっかりしておって我慢強い」
既に元康のそうした性格はわかっているのであった。
「しかし溜め込むからのう」
「それを何とかする為にですか」
「瀬名じゃ。あれは心優しいからのう」
「それも聞いておりますが」
「だからよ。そなたには瀬名じゃ」
雪斎はまた述べた。
「一番よい」
「では」
「話が決まればまた話す」
こう弟子に告げた。
「楽しみにしておれ」
「わかり申した」
「そしてじゃ」
雪斎の言葉が続けられていく。
「そろそろ用意しておくとするか」
「尾張へ攻め入る準備ですね」
「それを今から進めておく」
「殿にもお話をしてですね」
「ここは。そうじゃな」
ここでだ。雪斎は考える顔になって述べた。
「殿だけではなくじゃ」
「氏真様もですね」
「あの方にもご出陣願おう」
主だけでなく跡継ぎもだというのだ。
「そしてそのうえで兵の士気をあげねばのう」
「織田はそこまで強いと」
「そうじゃ。何度も言うが決して侮れぬ」
繰り返しているだけに。そこには雪斎の確信があった。そして元康もまたそれがわかった。師がどれだけ織田を恐れているのかもだ。
「だからこそじゃ」
「それがしもまた先陣で」
「そういうことじゃ。よいな」
「それでは」
駿河では見る者は見ていた。そうしてであった。
尾張とその近辺でも動きがあった。そしてそれはそれぞれの者達の運命を決めるものでもあった。だがそれを知る者はいないの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ